1日目 りードルフの村
「目が覚めたかい?」
目覚めた僕に声をかけてきたのは白衣を着た男だった。しかし白衣の上から鍛えられた肉体がよくわかった。男が奥の部屋に声をかけると、同じく白衣を着た女性がコップ一杯のミルクを持ってきてくれた。
一気に飲み干す、ようやく落ち着いたのか状況が徐々に理解できてきた。
落ち着いて一息入れたところに男が僕に手錠をかける。
「いきなり何するんです?」
僕は驚きながら男に問う。男は落ち着いた様子で
「君が運ばれた時に着ていたの帝国の服だ、スパイかもしれないから拘束させてもらう。少ししたら捕虜として取り調べをするからそのままにしていなさい。」
男はゆっくりとそう告げると窓を開け、外と連絡を取る。数分してから小屋で会った男女と同じ服を着た男が部屋に入ってきた。
「ライラス、こいつ取り調べは私が行うから少し席を外してくれ。」
白衣の男は言われると頷き、部屋から出て行った。なるほど、医者はライラスという名なのか。
「私はローラハム、この村の自警団の団長だ。まずは君の名前を聞かせてもらおうか」
ローラハムと名乗った男は、さっきの男とおなじくよく鍛えられた体の男だった。しかし彼はよく日焼けしており体の所々に傷跡が見えた、何よりの特徴は左目が見えないのか瞑っていた。
「・・・・・・」
僕は名乗ろうとするも、名前が出てこない。さっき目が覚めてからというもの何も思い出せないのだ。しかし壁にかかっている診療器具のつかいかたやベッド、窓などの使い方はわかる、しかし自分が何者かだけがわからないのだ。
「おいおい、記憶喪失者かよ・・・確かに君が運ばれた時はボロボロでところどころ打ち身があったと聞くしどっかで打ったんだろう。」
男はなぜか理解が早かった。その後はこの村のことと自警団を聞いた。
この村はリードルフ村といい、同じ名前を持つリードルフ鉱山からの採掘品を輸出することによって村の生計を立てていたらしい。特にランドル鉱石というものが大量に取れるらしくこれは鉄と混ぜて精錬することでより固く、より加工しやすくなる特性を持ち各国で重宝されている。
次に自警団だが、もともとはこれら鉱石を輸出する際のガードマンを村人が行っていたのだが、村が大きく取引していたボラス帝国とライシア連邦間での戦争が始まってしまい、輸出の際のガードマン業務のほとんどが不要になってしまった。かわりに激化する戦争の火の粉が飛び込まないよう村の敷地に近づく両軍兵への攻撃とそれらに対するパトロール業務が自警団の仕事になったらしい。
「僕はどうすればいいのでしょうか・・・」
僕はローラハムと名乗る男に対して聞いた、男は少し考えたあとに
「俺からは特に何も言えないが、とりあえず回復するまでこの村で過ごしていればいいだろう。もし意思があるならば記憶が戻るまでは自警団の一員として働いてみてもいい、それと俺のことは団長でいい」
団長はそう告げると手錠の鍵を外し、部屋から出ていこうとする。僕はその背中に対して
「何ができるかわからないけれど、何もしない訳にはいかないから僕も自警団に入れてください。」
そう言った、団長は振り返って
「ようこそ、りードルフの村へ」
そう言ってくれた、そして団長は僕にラークという名をくれた。
読んでいる人がいるかわからないけれどこんにちは、こんばんは
1日目という名の2話ですね、ほとんど行き当たりばったりの文章で今後の展開に若干の矛盾を感じ前回の内容を一部変更しながら2話を書きました
そうですね、舞台としては銃や戦車が存在するファンタジー世界といった感じでしょうか・・・私としては好きなのですが文章に起こしてみるといやはや世界観の説明が難しい・・・次回からはあとがきに少しずつ世界観説明でも入れていきましょうかね?
さて、今後は文章中でもラークと呼ばれることになる主人公ですが次回は自警団としての初仕事を行うことになります、彼はどのような仕事を与えられるのでしょうか。