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精霊契約者の調べ  作者: 緋色
序章
6/24

第5話 フィーネ-3

人物名とサブタイトルに悩む今日この頃。悩みだすのがはやいと自分でも思う……

家に帰った私を待っていたのは目を真っ赤にした愛娘、フィーネだった。

「ママッ…ママッ!」

「ちょっ、どうしたのよ、いったい」

泣き止んでおらず、言葉がとぎれとぎれになりながらもフィーネが私に言った。

「あいつを、リオンを助けて!」

そのまま泣き続けるフィーネをあやし、なにがあったのかを聞く。

「オーガまででてくるなんて…」

こうしちゃいられない、すぐにむかわないと

「フィーネ」

私の言葉にフィーネが身体をビクッとさせる。怒られると思っているのだろうか

「いい?すぐに帰ってくるから、ちゃんとお留守番してるのよ?」

「う、うん……」

よし

それを聞くと私は家をでて魔法を展開する。

「……霊装!」

契約した魔術師が使える魔法。契約精霊の魔力を武器や防具の形で展開する魔法だ。精霊に形をつくってもらい、それを展開するもの。その性能は普通の武器とは比べようがないほど。

「キャリーウインド」

風を操り体を宙にうかせる。そのまま森にむかう。探知に反応があるからすぐにつけるはずだ。

「リオン、まってて」


リオンがいる場所にたどり着いた私が見たのは首が欠けたオーガの死体とリオン、それを包囲するグレイウルフの群れだった。あの子、オーガを倒したの?!

驚きながらも魔法を放ちグレイウルフの首を飛ばしながら地上におりる。

「……よかった、無事みたいね」

リオンに声をかける。

「後は任せて」






クリスさんとグレイウルフの戦闘は、戦闘とよべないくらい一方的なものだった。おりてきたクリスさんをみて、応援をよんだことでグレイウルフの数はさらに増えていたのに一匹もクリスさんに触れることなく倒されていく。

「あれが…クリス・グレイシスの力……」

英雄の力。それを垣間見た瞬間だった。霊装を使い、舞うように魔法を放つその姿に思わず見入ってしまう。



「歩けそう?」

グレイウルフを倒したクリスさんは息を切らせもせずに戻ってきた。

「大丈夫です」

「そう…ならとりあえずその肩だけ治療するから。」

そう言って杖を肩にむけてきた。

「ヒール」

淡い光が肩を包み、傷が癒えていく。

「……よし、これで大丈夫。さあ、帰りましょ?」



家に帰った俺たちを待っていたのは3人の大人だった。

「あら、もうついてたの?ごめんなさい。ちょっと用事があって…」

「いやいや、かまわんよ。事情はフィーネちゃんから聞いている。」

「そう…あの子は?」

「泣きつかれたのか眠ってしまってのう。ミレイナが部屋にはこんで、そのままついておるよ」

そう言ってこちらを安心させるように笑うこの人はレオニダス・マラホーフ。元は王宮で騎士団長をしていた人でクリスさんの知り合いだそうだ。おれがここに住みだしてから一度顔を合わせている。ちなみに、ミレイナというのは彼の娘である。

「そう…お手数おかけしました」

「なあに、あの子は孫みたいなものじゃ。気にすることはない。それより、」

表情を険しくして続けた。

「本当にオーガがでたのか?この森に?」

「ええ。死体だけど、確認したわ」

「死体?お前さんが倒したのではないのか?」

「ええ。やったのはこの子よ」

「なっ…!!」

レオニダスさんが驚いた顔をする。

「まさかこんな幼子がオーガを?」

「ええ。首を大きく穿ってね」

「……そうか。ともかく、オーガの件は王にも伝えておく」

「お願いしますね」

レオニダスさんはかつて騎士団長だったこともあり、今でも王様の信頼を得ているらしい。


王様か……

かつて何度か顔を合わせた王様と、その子供たちの顔を思い浮かべた。おそらくもう会うこともないのだろうと思うと少し悲しくなる。子どもたちとは年も近くて一緒に遊んだこともあるからだ。元気にしてるといいけど。



「あれ、帰ってきてらしたんですね」

階段から降りてきたのは先ほど話にもでたミレイナだった。

「ええ。フィーネを運んでくれてありがとうね」

「いえいえ。父がそんなことしようとしたら腰をやっちゃいますから」

「まてい。わしはまだそんな年じゃ…」

「いいかげん自分の歳を自覚してください」

「まだまだ若いもんにはまけんわい」

レオニダスさんの発言にミレイナさんがため息をつく。

「さて、わしらはお暇するとするわい。フィーネちゃんがおきたら誕生日おめでとうと伝えといてくれのう」

「もうおかえりですか?ゆっくりしていけば…」

「なるべく早く王にオーガのことを伝えねばならぬからのう。」

「それは…そうですね。お願いします」

「まかせい」





2人がでていってから2時間くらいして、フィーネが目をさましおりてきた。

「あ……」

「あ…ええと…ただいま?」

俺の姿を見て一瞬かたまったものの、

ドンッ

「いてえっ!」

とびこんできた。

「よかった……無事でよかったよう……」

声が震えているのがわかる。身体の震えが伝わってくる。

「ごめんなさい…ヒクッ…ごめんなさい」

「ちょっ。泣き止めって」

頭をなでて落ち着かせようとする。昔妹にやっていたように…

「だって……だって…」

「俺は無事だったんだから。大丈夫だから」

「うう…ヒクッ…」

頭をなで続け、泣き止むのをまつ。




結局20分ほどそのまま泣き続けていた。ようやく泣き止んだと思って一安心していると

「じゃあ二人共、そこに並んで?」

ものすごい怒りがこもった声がかけられた。

「ええと、その…」

「つべこべ言わない。正座!」

……分かりました正座しますからそのにこやかな顔で怒りを表すのやめてくださいお願いします。

隣でフィーネもガクガク震えている。

俺達二人が正座すると

「あなたたちねぇ……」

クリスさんのお説教がはじまった。




あの後、クリスさんのお説教は2時間ほど続いた。地球での記憶を振り返っても類をみないほどの時間だった。そしてすごくこわかった。笑顔で怒りを振りまくのは止めてほしい……


俺たちをしかり終えたクリスさんにフィーネがお話したいと言ったため俺は今部屋にいる。ふたりがうまく気持ちを通じ合わせられればいいなと思う。



1時間くらいしただろうか。部屋の扉がノックされる。

「…入っていい?」

フィーネだ。

「ああ、いいよ」

ガチャ

フィーネが入ってくる。

「ちゃんと話せたか?」

「…うん」

それはよかったとほっとしている俺のとなりに腰掛けて

「おにいちゃん(・・・・・・)の言ってたことが正しかった。ママはちゃんと私のことも見てくれてた」

……は?

「そ、そうか…それはよかったな…」

「?どうかしたの、おにいちゃん?」

「おにいちゃんってなに…?」

その言葉を聞き俺の戸惑いを理解したようで

「だってこれから一緒に住むんだもん。新しくおにいちゃんができたってことでしょ?」

「ええと…」

「……だめ?」

ええい!そんなしょんぼりした顔で見るな!


なんて冗談はさておき

「いや、いいけどさ。急に呼び方変わったからびっくりしたよ」

「あははは。……ごめんね、今まで。いろいろ言って」

「気にするなって。気持ちはよくわかるから」

「うん…」

またしょんぼりしたようにうつむく。どうしたものか…

「あ、そうだ」

「え?」

あれがある。せっかくだから今渡しておこう。

「ちょっとまってて」

そう言ってベッドから立ち上がり机の方にむかい、引き出しからあるものをとりだす。

「はい。誕生日おめでとう。ほんとはあとでクリスさんと一緒に渡すつもりだったんだけど」

そう言って手渡したのは

「…きれい……これ魔晶石?」

「その欠片、かな」

そう。魔晶石の欠片でつくったペンダントだ。森の奥で見つけた魔晶石をペンダントにした。鎖はクリスさんに頼んでもらったものだけど。

「これ…私に?」

「うん。誕生日のプレゼントにね。自分で削ったからうまくできなかったけど」

「ううん…すごいうれしい。ありがと、おにいちゃん」

そう言って笑顔を見せてくれる。やっぱり子どもは笑顔が1番だなと思った。



その後、クリスさんとフィーネと3人でお祝いをした。レオニダスさんたちもプレゼントを持ってきていたらしくクリスさんが渡していた。当然クリスさんからのもあった。


この親子のわだかまりがとけてよかった

もう少し登場人物ふえたら人物設定や世界設定を作ろうかなと検討中。

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