第2話 出会い
話を書くのが難しいと実感しているところです。うまくかけない…
……これはなんだ?
頭の中に今まで見たことも聞いたこともないような景色が次々とでてくる。それと同時に、自分の知らない、けれど知っている記憶が流れ混んでくる。
(ああ、僕は……俺は……)
その記憶は、彼が天川 響として生きていたときのものだった。最期の瞬間まで鮮やかに記憶が蘇る。
突然の記憶に困惑しながらも、どこか納得したような気持ちになっていた。欠けていた部分が埋められるような感じがする。
「やっと思い出したのね」
声が聞こえる。けれど姿はみえない。声を出そうにもでてこない。
「ふふっ。これでようやくあなたに………」
声が遠のいていく。それと同時に意識が少しずつ浮上していく。
「……はっ!!」
リオンが目覚めるとそこはベッドの上だった。よく見ると、自分の身体のところどころに包帯が巻かれている。
ガタンッ!!
突然の音に驚いてそちらを見ると小さな女の子がたっていた。足元に水の入った容器が落ちていることからさっきの音はこれかと推測する。
「あ…あ……」
少女は顔を青くし部屋からでていく。
「??」
1人残されたリオンは状況が把握できずにキョトンとしている。と、部屋の外から人の歩く音が聞こえてきた。
「やっと目がさめたのね」
そう言いながら部屋に入ってきたのは髪の長い女の人。それも日本でならモデルでもできそうな美人だ。
「えっと…あなたは?」
「私はクリス、クリス・グレイシス。一応貴族よ」
貴族……グレイシスという名前には聞き覚えがある。確か……
「グレイシス……もしかして、あのグレイシスですか?」
「何を想像したのか知らないけれど、たぶんそのグレイシスね」
やはり……
クリス・グレイシス。彼女は国の救世主の1人に数えられる人間だ。9年前に起きた戦争で傾きかけたこの国を救った1人。
「聞かれる前に話しておくわね。あなたが川で流れてるのをさっきの娘が見つけてくれたの。背中の火傷もひどかったからひとまずうちにつれてきて、治療したってわけ。3日間も寝てたから心配してたのよ」
「そうなんですか……リオン・ヴァルフィルトといいます。助けていただいてありがとうございます」
そう言って頭をさげる。
「それはいいんだけど……ヴァルフィルトのおぼっちゃまがどうしてあんな火傷をして、川で流されてたの?魔物にでも襲われた?」
「いえ…実は………」
俺は契約に失敗したこと、それが理由で家を追い出されたこと、途中追手に襲われ火の球をうけて吹き飛ばされたことを話した。
「……そう。大変だったのね。相変わらずやることが下衆い人だわ……」
「父さんを知ってるんですか?」
「もちろん。9年前にはいろいろ(・・・・)お世話になったわ」
「……なにをしたのかは知りませんが、申し訳ありませんでした」
再び頭をさげる。
「いや、もういいの。すぎたことだから。……それよりあなたはこれからどうするの?」
「そう…ですね……」
言葉につまる。正直に言ってなにも考えがない。前世の記憶を持つと言っても、まだ子供だ。できることなんてなにもない。
しばらくの沈黙の後再び彼女が口をひらいた。
「いくあてがないのならうちに住む?」
「……いいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。あなたみたいな子供をほっぽりだすなんて後味が悪くてとてもできないわ」
このやり取りがこの後の俺の人生を大きく変えてくれた