第1話 捨てられた子供
とりあえず書いた2つを投稿です。
ちまちま書いてなるべくはやめに次も投稿します。
僕、リオン・ヴァルフィルトは神童と呼ばれていた。
魔力の量が多いこと、魔法の腕がよいことが理由だった。5歳になる頃には下級レベルの魔法は発現できていた。彼の能力を知る者たちは皆、彼の将来に期待していた。
契約
それは精霊を自らに宿し、その恩恵を得られるようにすること。契約できれば確実によい地位が手に入る、といわれるほどそれはこの世界では重要視されていた。契約者はふつうの魔導師よりも強くなるため、国が彼らにある程度の地位を約束するためである。
僕と僕の双子の弟の6歳の誕生日の次の日。僕たちは契約をした。いや、しようとしたが正しいか。僕は契約に失敗したから。精霊が呼びかけに答えてくれなかった。
そんな僕に家族は手のひらを返すように対応を変えた。僕を慕ってくれていた妹は僕を避けるようになった。
僕といつもいっしょにいた弟は僕を蔑むようになった。
僕優しくしてくれた姉は僕に構わなくなった。
そして……
あんなにも僕に期待し、つきっきりだった両親は僕を放ったらかしにし、声1つかけてくれなくなった。
僕は広い屋敷で一人ですごした。魔法の練習をし、本を読み、また練習というような毎日だった。
今にして思えば、なんと愚かだったのか。あの頃の僕は、魔法がもっと上手くなればまた前みたいに戻れると思っていたのだ。
そんな甘い幻想はすぐに壊された。
「ーリオン、お前からヴァルフィルトの名をとりあげる。」
父と母が僕の部屋に来て、そう言った。
「……父さん、それは…」
「私たちはもう貴様の親ではない!今すぐにここからでていけ!」
父の言葉に僕は思わず母の方を見た。けれども、そこで僕の目にうつったのは冷たい、ゴミかなにかを見るような目だった。
「……わかり…ました……」
僕は混乱しつつもそう答えた。いや、答えるしかなかった。
僕の言葉を聞くとふんっと鼻をならし二人は出ていった。
僕はなにも考えられず、そのまま屋敷の外に出ていった。
どれだけ走っただろうか。領地の端にある森の入り口にたどりついた。ゼェゼェ息をはきながら足をとめ、座り込む。これからどうしようかと考えるも上手く頭が働かない。しばらくそのまま座り息を整える。
「…やっと見つけましたよ」
声をかけられる。声の方へ目を向けると、ヴァルフィルトの使用人が4人立っていた。
「……なにか…ようですか?」
「主人の命令です。あなたを始末するように、と」
「なっ!?」
驚く僕を尻目に彼らが魔法を展開する。【ファイアスピア】だ。
それらが一斉に襲いかかってくる。
「!!」
ぼくは咄嗟に横に跳ぶ。1本が肩をかすめた。
「まだまだいきますよっ」
再び火でできた槍が襲いかかってくる。
「くっ…【ウォーターシールド】!」
前方に水の盾を展開し防ぐ。槍に触れた部分が蒸発していき、水蒸気がたちこめる。
(いまのうちに…)
ぼくは身体強化をかけ、森の中に走る。後ろから逃げたぞだのまてっだの聞こえてくるが気にしない。ひたすら走り続ける。
「仕方ないか…【フレイムショット】!」
「がっ!」
後ろからとんできた火の球が2発、背中に直撃した。勢いよく倒れる。と、再び火の球がとんでき、僕の身体を吹き飛ばす。
ドボーンッ!!!
(あ、やばい………)
吹き飛ばされた先の川に突っ込んでしまう。
(息が……!!)
同時に多量の水を飲んでしまい、呼吸ができなくなる。
そのまま僕の意識は闇にのまれた。