プロローグ
天川 響は東京に住む高校生だった。
家から学校へ向かうバスの中で彼は窓の外を眺めていた。季節は春。だんだん暖かくなってきたこの時期、人々の中には半袖を着ている人がちらほら見える。
40分ほどバスにゆられ、学校の最寄り駅につく。バスをおり、響は学校にむかう。
バン!!
行きなり背中に衝撃をうける。
「よお、響」
「健児か」
響は少し彼を睨みながら答える。
「おいおい、朝からそんな怖い顔すんなって」
「誰のせいだ、誰の」
響の口から溜息がもれる。
「わるいわるい。」
「はあ…いいからいくぞ」
そう言って響は歩いていく。後ろからまてよと言いながらついてくる健児。
(今日も平和だなぁ)
そんなことを考えながら響は歩いて行く。そんな平和が崩れてしまうことなど知らずに……
キーンコーンカーンコーン
「よし、今日はここまで。」
教師はそう言って号令をかける。その日最後の授業だった。
(帰るか)
響は荷物をカバンにしまい、教室をでる。途中かけられる言葉にてきとうに返しながら。
「ん?雨か……」
校舎をでると雨が降っていることに気づく。カバンからおりたたみの傘を取り出し開く。そのままバス停に向かう。
「あれっ?」
バス停にむかう途中、前方からバスが走って来るのが見える。
「一本のがしたか…」
バス停につくと次のバスが来るのは10分後になっていた。自分同様バスを逃したのか、3人の人間がその場にたっていた。しかたないか…とその場でまつ。
雨がだんだん強くなっていき、視界が悪くなる。
(こんなに強いなんてな…どこかで事故でも起きそうなくらいだ。)
そんなことを考えながらぼーっと待つ。と、そのとき
ドンッ!!!!
大きな音が聞こえると同時に響の身体を衝撃がおそう。
(な、なんだ……)
響は自分の身に起きたことを知ろうとするも、痛みからか、意識が薄くなっていき、ついには失った。
次のニュースです。◯◯のバス停に乗用車が突っこむという事故が発生しました。バス停にいた4人中2人が死亡、2人が意識不明の重体です。乗用車の運転手は……