オレの生い立ち by蒼
はじまりは、主人公の一人「蒼」の独り言。
唐突だが、オレは地球からみて異世界、ガルファーナで生きてきた記憶がある。
地球で生きている、今のオレの名前は「嵯峨野 蒼」。
ガルファーナでは「アルレリア・ケイスターン」と言う名だった。
本名はもう少し長かったが。
ガルファーナにあったとある大国の学園を首席卒業し、家柄も良かったから、かなりのエリート職にも着いていた。
そこでオレは、魔方陣を主に研究をしていた。
そう、魔方陣!だ。
こことても重要。
ガルファーナは剣と魔法の世界だった。
魔方陣は、マナと文字、文様が調律しあう図案となって初めて成り立つ素晴らしい魔法の術の一つであり、研究すればするほど面白い効果を生み出せ、奥が深い……、いや、本題ではないな。
……それにしても。
研究途中の図案が20も控えていたのに……。
いや、今はこの世界でも面白い影響を及ぼす陣形をいくつも考案できている。
いや、そこでもない。
アルレリア(オレ)は、唯一の親友であったロス(面倒なことに王位に就きやがった友)を庇って死んだ。
アルレリアを知る奴は、「誰かを庇った」ことを誰も信じれんかっただろう。
そもそも、魔方陣狂のアルレリアがロスのために宮廷魔導士になってやったことは、誰もが驚いたらしい。
仕方がない。
オレは魔方陣さえあれば良かったが、ロスぐらいは魔方陣の次には、大切と思ってやっていた。
ロスは王だった。
だから、命の危機の晒されるのは日常茶飯事。
その時は、偶然アルレリアの知覚内で、本当に暗殺される直前だったのだ。
庇った時、ロスの表情が……、いや、それは感傷だな。
もう今はどうしようもない。
それよりも大切なのは、魔方陣だ。
魔方陣だ!
魔方陣を考えられないなんて、オレには生きる意味がない。
生き甲斐だ、なければ死ぬ。
マジだ。
「嵯峨野 蒼」として生まれた時、なぜか「アルレリア」の意識を持っていた。
分析するに、今までの魔方陣の知識を忘れてたまるか!!っていう魔方陣に対する愛だと思う(真顔)。
転生したことは、生まれてからの言語習得(2週間もかかった)と、機械の存在で理解した。
言語習得なんぞ、研究には必須だからな。どの国のどんな民族の言葉でもオレ(アルレリア)は把握していた。
でなけりゃ、古代言語がわからないかも知れない上に、言語がどのように魔方陣に影響するか知りたいだろ。
ガルファーナで知らない言語はない、とオレは豪語していた。
ロス以外は、オレを狂人を見る目つきで見ていたがな。
ちなみにロスは「流石アル。やりすぎ。そこまでだから笑える」と爆笑していた。
それはともかく。
異世界に転生したことを知り、この地にマナが感じれないこと、どこを見渡しても魔方陣が見つからなかった時は、本当に絶望した。
どん底だった。暗黒だ。
生きる気力はゼロ。死んだ目していただろう、赤子のオレ。
むしろ自由に身体が動かないから、己で命を絶てずまた絶望していた。
その辺は両親に聞けば、しみじみと教えてくれる。
「泣かず動かず、だらりと四肢を投げ出して、生きているか死んでいるかわからない赤ん坊だった」と。
そんなオレだったが、ふと考えた。
「誰も「知らない」のかも」と。
そう、この世界はマナがない。魔導士もいない。魔法もない。
だから「魔方陣」がない、と判断するのは早計だと。
このひらめきは、オレの「蒼」としての人生を確立させた。
「生き」てまた、「魔方陣」を!
結論から言うと、オレは「嵯峨野 蒼」として「魔導士」を名乗っている。
地球用の「魔方陣」とともに。
でも。
「オレ、魔方陣使えます」「オレ、魔導士です」って公言できねえよな……。
それって思いっきり、中二病、もしくはイタい人だし。