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プロローグ
※ ※ ※
真っ暗な校舎内を逃げ惑い、魔獣に追い詰められ、命の覚悟を決めた瞬間。
――ギャゥン!
突然ドーム状の結界が紫苑を取り囲み、飛び掛ってきた魔獣を弾き飛ばした。
「……い、一体…」
ともに逃げていた友(元凶)が、呆然とした口調で呟いた。
しかし、はっと表情を変え、紫苑を庇おうとしていた姿勢から、滴る血を気にせず腰を落とし再び戦闘体勢をとる。
「んだぁ?
紫苑以外にも、誰かいたのか」
紫苑の聞き慣れた声が、通路に響き渡った次の瞬間。
兄の手作りアクセサリーが光り輝くーー。
――この瞬間から。
紫苑は、これらが夢でありえないことを思い知ったのだ……。
随分昔の小説、修正アップしてみました。
2014年→2018年修正アップ