委員長、いや、委員長様はお怒りです。
恋愛ジャンル初挑戦!
突然だが倉島 相互、奴はイケメンだ。
付き合い始める前は色んな女と噂が絶えなかったし
実際付き合ってもいた。
進んで告白したことはない様だが、告白されたら
付き合うし優しく扱う、そんな感じだから
奴の彼女に立候補する子は多かった
まぁ、言ってしまえばかなりモテた。
対する私は鷹野透子
典型的な委員長タイプ……否、
どちらかと言えばもう、絶滅しているだろう
みつあみにしたおさげにメガネをかけた
古典的な委員長タイプ。
基本目立つことなく、唯一目立つ時があるとすれば
クラスの話し合いの内容を黙々と黒板に写していく時位の大人数埋没型の人間だ
そんな真逆な似てもにつかない、私達は付き合っている。
大体この話をすると本当か?と聞かれるが
嘘では無い。本当だ。
今、何故こんな話をしているのかと言うと、時間は
30分前に遡る。
その日私は、組別の集まりがあったため
会議室に行っていた。
近々文化祭があるので
そのための打ち合わせがあり、
放課後にクラスの代表者は
全員集まるようにと言われている。
正直かなりめんどくさいが仕方ないか……
ただ内申点の為だけに委員長の座に収まって
いる私でも、やると決まったからには
それなりの仕事はするつもりだ。
ただ、そうなるといつも一緒に登下校している奴に
伝えておかなくてはならない
さて、伝えておくかな
というわけで、隣の組にいる奴に
集まりがあるため今日は帰りが
いつになるのかわからない、ということと
先に帰っておいて欲しいと言うことを
奴に伝えたのだが
わかった、教室で待っているから!
と言って聞かなかった。付き合い始めたばかりの
頃は、駄々をこねるな。ウザイ。あっち行け!
と思ったし、ぶっちゃけ言っていた。
しかし、まぁ……なんというか……
どれだけ冷たく突きはなそうとも、めげずに
好きだ!というストレートな好意をぶつけてくる
奴にいつまでも冷たく出来るだろうか?
私は出来なかった。
大体、こいつの好意は押し付けがましいという事
もなく、本気で嫌がる一歩手前で引いてしまう、
そのため、怒るタイミングが掴めず何となく許してしまうのだ。
こういうのをほだされるというのだろう。
正直、初めは一目惚れだ!付き合って欲しい!
といわれても信じる事が出来なかった
だってそうだろう!?
私は良い大学に入るため、真面目な行動と地味な
格好を常に意識して行動してきた。
間違ってもこんなイケメン野郎に頬を染めて
告白される覚えはない。
しかも、場所は放課後の教室に呼び出されてというべったべたなシチュエーション。
そこで、私が下した結論は
あぁ、バツゲームか……
だった。
非常に不愉快だが!!イケメン爆発しろ!!!
と思ったが!!
なにを血迷ったかその時の私は
そのバツゲームに乗ってやる事にした。
精々、地味子が本気になって困ればいいわ!!
………
そんな風に思っていた頃が私にもありました。
初めは他人事の様に演技力高ぇー(笑)
まだ続けるのか?
なんて思っていたのだが、行動が演技にしては
マジすぎた。
まず、昼食はほぼ、必ず一緒。
帰りはどんなに私が遅くなっても待っているし
今までの歴代の彼女たちとはすっぱりと関係を
絶っている。
そうなると2ヶ月たつ頃には疑うのも難しくなってきた、
あ、あれ?いい加減長すぎじゃないか?えっ?
マジなの?
結局誤解も解けて(それまでにも色々ゴタゴタした訳だが)今度こそ正式に付き合うことに。
私達の距離もかなり縮まって今では普通の恋人
のようになった。
も、もちろんあの時の事は謝った!!
悪かったなと思ってるし、もう疑わないという約束
もしたし、
奴の恥ずかしいオネガイにもしっかり答えた!!
くっ!もう………
あんな事になるなら疑わなければよかった!!!
拗ねると奴はめんどくさいが、今回は私が
全面的に非を認めているため仕方がないんだよ!
………話を戻すか
私はその集まりに参加していたわけだが
そんなに重要な話でもなかったのですぐに決まり
案外早めに終わってしまった。
帰りは奴と本屋にでも寄っていこうかな
なんて事を考えながら教室に向かう
そして教室に帰ってきた訳だが。
これは
「!!!!」
「何をしている」
目の前には相互と茶髪に髪の毛を染めた女が
キスをしていた。
「透子ちゃん!!!これはちがっー
「あー!あんたが相互と今、付き合ってるって
女ーー?だっさ!ねぇ?見たでしょ?
あたしら付き合う事になったから。邪魔しないで
くんない?」
クスクスと頭の悪そうな顔で笑う自称新彼女さん
勘違いして欲しいんだろうが、私も馬鹿じゃない
疑わない約束もある訳だし。
冷静に状況を見てみる…………あんたが無理矢理
ゴリ押したの分かりやすすぎだろう
女は相互のネクタイを無理矢理引っ張って不意をついたのが分かるのに対し、相互はそれでももつれる
のを防ごうとしたのか、肩を押しつつ抵抗する
様子が伺える。
ネクタイから手は外しておいたほうがよかったんじゃないですかねー??
ぜひそう言いたいな!
私からの視線に茫然自失気味だった
奴もまだネクタイを掴まれている事に気がついたようだ。女の手を無理矢理引き離すと私のほうに
泣きそうな顔で駆け寄ってくる来る。
「ちょっと!!相互!!」
「透子ちゃん!俺……!!!」
なんとなく事情は分かる気がするが一応聞いておく
ことにした私は溜め息を付いた。
「相互、説明。」
「こいつ昔付き合っててもう、別れたんだけど……
また付き合おうって言われて!!断ったら
突然引っ張られて………だから透子ちゃんと
別れる気なんてなっ!?っん!!」
噛みつく様にキスをする。
イケメンは背が高いなんて法則でもあるのか?
私より遥かに高い位置にある奴の首に手を添えて私の位置に合わせ隙間を埋める様に口ずけた
さっきは不意打ちのため軽いキスだったようだが
十分ムカつくので消毒のつもりで隅々まで私で
口内を満たす。
「ふっ……ん……ぅうん…」
舌を絡めたり、歯をなぞっていくにつれて
段々奴の息が荒くなってくる
目はとろんとして顔は耳まで真っ赤だった
たぶん教室だって事忘れてるんだろうなー
ちゅっ
最後に唇のはしから出てしまっている唾液を
綺麗にしてやり一旦離れる。
「んっ……っはぁ…………はぁ …透子ちゃん…」
まだ物足りないとでもいうように
真っ赤な顔のまま眉を寄せた訴えるような視線
を無視して自称新彼女さんの方を見る
「ふふっ。残念だな、それくらいでは別れないさ、
約束したんだ。こいつの事
もう疑わないって、それと………
いつまで見てる気だ?私は一向に構わないが」
「っ!!!!!!」
ふん!さっさと帰れ!
あわてて教室を出ていってしまった自称新彼女さん
に手を振っていると、その手をぎゅっと掴まれた。
「透子ちゃんっ!!
約束覚えててくれて……信じてくれてありがと。」
私を抱き締めて
今にも蕩けそうな笑顔で奴は言った。
「か、彼女だからな………!!
………しかし、何のおとがめもないと思っているのか??」
「えっ……?」
私は奴の耳元に唇を寄せて笑顔で囁いた。
「無理矢理とはいえ何、キス奪われてるんだー?
油断し過ぎだ。……私以外の女とキスした罰だ」
かりっ!
奴の耳を軽くあまがみすると面白い位
体が跳ねる。耳が弱いのか
こうも正直に反応されるとつい力が入ってしまう
吐息を混ぜながら、唇の動きが伝わるように押しあてながら、
「私が疑った時はあんなことをさせたというのに
これはダメなのか?……それともあの女に自分が
翻弄される所を見られて………興奮したか?」
「ひぁ!!…うぅ…透子ちゃ…んだ……から…」
潤んだ瞳で私だからだと言われて思わず赤くなってしまう。
相互のくせに生意気だ!!
今回わかった事といえば私は案外嫉妬深いという事
と、たまには私からというのも奴が可愛くて
いいかも?という新事実だった。
奴が私の照れ隠しの口づけに再度可愛くなって
しまうのはまた、別の話。
さて、やっと終わったわけですが……
あれ?男女逆じゃ………??
相互君は普段頼れる爽やか系イケメンのはず
だったんですが。
委員長様を前にただのワンコに(笑)
ちなみに委員長様こと透子ちゃんは陰で皆から
恐れられています。もう、誰も逆らえません。
地味だと思っているのは自分だけ
委員長が集める筈の提出物を忘れた日には
絶対零度の視線に晒されます。
最近は、あんなに透子ちゃんに見つめられて!!!
とワンコの視線も突き刺さる(笑)