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帰路にて
帰りの電車。他に誰もいない車内で、眠りこける隣の友人を見て、京塚悠一はほくそ笑んだ。
兼ねてから、片想いをしていると聞いていた彼の年下の従姉妹。彼女も彼に恋をしているようだった。
恋心を自覚していないようだったが。
数少ない友人が、これから想いを遂げるのには、まだまだ時間がかかるのだろう。自分は、それを陰ながら応援していればいい。
『……焚きつけりゃいーのに』
「うるさいな」
『大事な友達だから、幸せになってほしいんでしょ?』
「……でも」
『なぁに?』
「そうしたら、俺と遊んでくれなくなるかも」
『まあ……可愛いこと言うのね。大丈夫よ。恋と友情は別物だから』
「……それよりさ」
『なぁに?』
「ありがとな、庵野清美を呼びに言ってくれて」
『ああ、いいのよ。だって……』
がたん、と電車が揺れる。
『大好きな悠一のためだもの』
くすり、と笑う声がした。
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