オレオレ詐欺返し(?)
深く考えず、読んでみてください。
トゥルルルル……
トゥルルルル…
ガチャ――
「はい、もしもし」
『あ、もしもし? 俺だけど…』
「え…まあ! タクミ!?」
『ん…ああ…』
「タクミなのねっ。元気してるの? 母さん、毎日あなたを想ってるわ」
『あ、うん…』
「どうしたの? 何かあったの? 怒らないから言ってごらんなさい」
『…それがさ、昨日…事故して…子供を、はねたんだ…』
「まあ!」
『あ、一命はとりとめたよ! …でも、その…やっぱり、いろいろお金が必要なんだ……』
「お金が欲しいのね? 大丈夫よ。母さん、タクミのためなら何でもするわ!」
『あ、ありがとう…』
「どうすればいいかしら? あなたの口座に振り込んでおきましょうか? いくらぐらい?」
『えっ…あ、いや…』
「大丈夫よ。…ああ、それにしてもタクミ。あなたがいなくなって五年…本当に心配だったのよ」
『ご、ごめん…』
「いいのよ……父さんは放っとけって、捜そうともしないんだから。父さんのせいで、タクミは家に居ずらかったものね。でも、もう戻ってきても大丈夫よ。あなたのために、昨日あの人を川に沈めてきたから」
『――――』
「あ、大丈夫。ちゃんと首の動脈を引き裂いて、用心に手足も縛っておいたから」
『………』
「私と一緒に暮らしましょう、タクミ。可愛い私のタクミ…愛して―――」
ガチャンッ!
ツー…ツー…ツー…
「バーカ」
俺はほくそ笑み、受話器を戻した。
こんなのじゃないけれど、実際かかってきましたよ。私の祖母が出ました。引っかかりませんでしたけどね。