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何故か彼女はついて来る  作者: 坂津狂鬼
無能修正
18/28

逃げ

タイトルなんかに意味は無い

「護衛ですけど、何か?」

黒髪を中途半端な長さで切り、顔には特にこれといった特徴も無く、身長は167程度の中肉中背。

絵に描いたような模範的な学生のような人物の足元には何名かの生徒がうめき声を上げながらのた打ち回っていた。

(……こいつが全員一人で…………?)

ゆっくりと無意識のうちに景は身構えていた。

敵ではない、と相手は言っているようなものだ。しかし何故か本能的に警戒してしまっている。

「あ、蓮野君! そのこれは、えぇと、そのですね…………」

灯澄が景の姿を確認し、慌てふためく。

一応、灯澄は自分の命が誰かに狙われてる事を景が知らないと思っているようだ。

「誤魔化さなくても良いみたいですよ。この男は知っているみたいだ。つまり――――」

学生のような人物はそう言うと前へ一歩踏み出してきた。

自分の内側の何かが弾け、景は本能的に右腕で何かを受け止めた。

(熱い……ッ!?)

直後、右腕に熱した金属類が当てられ神経が溶かされるような感覚に、景は飛び退く。

右腕には手形のような白い痕が残り、熱が痛みに変わっていく中で学生のような人物は言葉の続きを言う。

「敵か、記憶を消した野郎のどちらかって事ですよ」

「……大正解だよ、クソッタレ」

痛みを堪えながら、景は学生のような人物を睨み付ける。

(……才能での攻撃である事は間違いない。身体能力は普通以上っぽいが、注意していれば攻撃は避けられる。あとは何の才能かが分かれば―――――――)

「は、蓮野君……? どういう、事なんですか?」

景の思考を遮るように、灯澄が問いかけてくる。

しばらくの間、景は逡巡し、そして正直に真実を伝える事にした。

「黒笠灯澄の記憶を消した人物は、蓮野景だった。それだけだ」

「何で……あたしの記憶を消したんですか?」

「その時の気分だ。消したい気持ちになったから消した」

「何で、記憶を消した人の所へ何度もお見舞いに来たんですか……?」

「思い出されては困るからな。一種の監視だ」

「何で、あたしと喋ってたんですか? 監視だったら、そんな事をしなくたって……」

「こちらが親切にお前へ対応したら、記憶が無くなった直後の人間なら少なからず信頼するはずだ。信頼していた人物が記憶を消した事を思い出せば、態度に出る。これでお前が記憶が戻っても誰にも話さずに隠していたとしても、見分ける事が出来る」

「……蓮野君は、あたしに嘘を吐いたんですか? 嘘の態度で接してきてたんですか?」

今にも泣きそうな顔で、灯澄は最後の希望をかけながら景に問う。

その表情を見ても、景は逡巡する事なく真実を言う。

「あぁ、黒笠に嘘を吐いた……嘘の態度で接していた」

「…………ッ」

灯澄は突如、走り去り、どこかへ消えてしまった。

沈黙が空間を支配する。景の胸で何かが突っかかる。

「嘘八丁が上手い事で」

学生のような人物が景に向かって称賛の言葉を言う。

あぁそういえば二人だけじゃ無かったんだな、と思いながら景は視線を向ける。身構える事はもうしない。

相手から敵対の意思が感じられなかったからだ。

「どこまで知っていた?」

景は学生のような人物に問い掛ける。

「依頼者から聞かされたのは、黒笠灯澄の記憶を消したのは敵側とは違う人物、という事だけです。それ以上は今日さっき貴方から聞いた事実しか」

「敵側………?」

「言えないですよ。一般人が首を突っ込んで良い話では無いので」

「黒笠灯澄の記憶を消したのを誰だと思ってる? 人の記憶を消すような奴が一般人だと思うのか?」

「嘘は良くない。嘘ばかりを吐くと無理をして命を落としますよ?」

景の口から次の言葉は出なかった。自分の命を懸けるほど、灯澄の事に加担しようなどとは思わなかった。

その様子をしばらく見ると学生のような人物は、景に背を向けどこかへ行こうとした。

「おい、お前の名前は?」

樋川ひがわです。今後お会いしない事を願います」

名乗ると、樋川は今度こそどこかへ行ってしまった。

その場に一番遅れて来て、一番最後に残った景は空を見上げてどうするかを考える。

これからは灯澄の傍にはあの樋川という人物が付いている。

暗殺者に襲われたとしても、樋川なら難なく退治できてしまうだろう。

灯澄には虫食い状態の真実を伝えた。

あの言葉を聞けば、灯澄はもう二度と景には近付かない。近付く気にはなれないだろう。

逃げ出せる。

灯澄の記憶を消した事からも、自分の内側にある何かからも、罪悪感からくる同情からも。

全てから逃げ出せる。逃げ出してしまえばいい。逃げ出すべきだ。

(…………だけど、………………)

言葉に出来ない何かが喉で引っ掛かっている感覚に、景はただ空を見上げる。

見上げる事しか、出来なかった。そうやって自分を誤魔化していた。

もうすでに、逃げるための一歩を踏み出していたのかもしれない。

景はそんな事を思いながら、昼休みの終わりを告げるチャイムを聞いていた。

この前、ネタバレしたら評価を下げられたので……もう一回ネタバレを!


嘘です、すいません。許してくださいお願いします。

しばらく更新しないかもしれないんで。それを伝えたかっただけなんで

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