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何故か彼女はついて来る  作者: 坂津狂鬼
因果応報
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スタートライン

窓の外から景色を眺めるのが好きだ。趣味と言っても過言ではない。

外の景色を眺めながら、色々な事を考えたり、考えなかったり、何かを観察したり、観察しなかったり。

そういった事をしているのが好きなのだ。そうしていると自分が…………。

自分がまるで傍観者になったようで、窓の外から景色を眺めるのが好きなのだ。

傷付くのが怖いだけだろ。もう少し誰かと仲良くした方がもっと楽しいと思うよ。お前、生きてて楽しい?

この趣味のせいで色々な人間に、色々な事を言われてきた。

同情からの誘いだったり、感情論をぶつけてきたり、単純な質問だったり、暴言だったり、陰湿な言葉の塊だったり。

聞いてはいた。だが、これと言って耳を傾けても面白そうなものが無かった。故に無視した。

瞬く間に、俺の周りには人がいなくなった。残ったのは仕方なく関わろうとする大人と腐れ縁の男子だけであった。

ちなみに自分は男だ。腐れ縁が女子だったらよかったのにと何度も思ったことがある。

ウザいだけかもしれないが、しかし人は在り得たかもしれない可能性にしがみつくものである。あぁ幼馴染の女の子なんて現実では起こそうと思って起こせるものじゃ――――。

………まあそんな事はともかく。俺の周りには人がいなくなっていた。別にそれで構わなかった。

高校進学の時も、大して悩みはしなかった。

誰かと一緒の学校に行きたい、などの希望も無かったし、俺の希望は移動距離が自宅から一番短い所か極端に遠い所かの二つに一つだった。

結果、俺が進学する事になった高校は自宅から一番近い場所にある学校になった。これは少し残念だった。

極端に遠い場所ならば電車やバスを使う事になるだろう。それらの窓から見れる景色に少し興味があったから残念であった。

しかし近くて悪い事は何一つない。限界まで寝ていられるのだから。

そして、入学してすぐさまに自分の苗字を恨む事になった。

蓮野はすのかげる。それが自分の名前である。

つまりは、窓際の席では無い。これは重要な事だ。趣味を禁止にされたのだ。

4月からの一か月間、自分は死んでいた。というか思い出したくない。1分1秒に生きる意味を感じられない。

そしてゴールデンウィーク直前の席替えにて、俺は生存を勝ち取った。

つまりここまでで何が言いたいかと言えば。


俺の高校生活は5月からようやく始まりを迎えるのだった。

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