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痛い出費

 そのオーガ娘の名前はソニアといった。


 俺がソニアのご主人様となった時点で新しい名前を付けても良かったんだけど、面倒なので元の名前のままにすることにする。


 どうせ俺が名前を付けてもセンスゼロの名前になるのが目に見えてるしな。


 ソニアは元々オーガ村一番の戦士だったらしい。


 でも、盗賊団が乗り込んで来て集団でボコられ角を砕かれ、気が付いたらサビアとして売られていたそうだ。


 角が砕かれたせいで元々持っていた力の100分の1ぐらいしか力を出せないポンコツに成り下がってしまって、今や5歳児にも勝てるかわからない程の力しか出せないという。


 だめじゃん!


 俺のパーティーのサポート役として全財産(はた)いて買ったのにパーティーメンバーとして全く使い物にならねぇ。


 新しいサビアを買うべく、また明日からも薬草採りを続けないといけないな。


 *


 薬草採りを二人ですることになった。


 二人でやれば稼ぎは2倍で生活が楽になるかと思ったんだけど……。


 このオーガ娘、身体がデカいだけあってむちゃくちゃ食う。


 俺の5倍は食うね。


 2人で倍稼いでも食費にほとんど消えていく。


 楽する為にサビアを買ったら逆に生活がきつくなったって、どうなってるんだよ?


 サビアを粗大ごみや生ごみみたいに捨てるわけにもいかないし、どうすればいいんだ?


 *


 あれから数日後、町へ行くとソニアが武器屋の前で立ち止まった。


 5歳児レベルの力じゃ剣なんて扱えないのに武器なんて見てどうする?


 でもソニアの目は物欲しげに武器にロックオンだ。


 申し訳なさそうにソニアがいった。


「あの~、武器を買ってくれませんか?」


「その力で武器なんて扱えるのかよ?」


「ボウガンなら大して力もいらないし、わたしにも使えると思うんです」


「ほんとかよ?」


 俺は本当に使えるのか疑いつつも、ソニアを信じなけなしの全財産叩いてボウガンを買った。


 もし、鼠の一匹も狩れなければ俺たち二人は文無しで野垂れ死にだ。


 早速草原に出てウサギを狩ることにした俺たち。


 ウサギといってもここら辺にいるのは角の生えた凶暴なホーン・ラビットだ。


 気を抜くと角でぐさりとお尻を刺される。


 ボウガンでウサギを狩ろうとしたんだけど…………ソニアは半泣きだ。


(つる)が固くて矢をセット出来ません」


 マジかよ?


 ありえねぇ。


 そこまで非力だったのかよ!


 なんでそれでボウガンを欲しがる?


 使いこなせるんじゃなかったのか?


 俺も矢をセット出来るか試してみるけど、弦が固すぎてビクともしねぇ。


 ソニアが応援する中、全身を使ってどうにか矢をセットした。


 息絶え絶えでもう動けねぇ。


 今ホーンラビットに襲われたら俺の後ろ穴の処女を失い大変なことになる。


 ソニアはボウガンをホーンラビットに向けて矢を射った。


 凄まじい勢いで放たれるボウガンの矢。


『キュピッ』ッという断末魔を残し、哀れなうさちゃんはお陀仏だ。


 一発で仕留めるとは凄い。


 足の速いホーンラビットをあの距離で一発で仕留めるとは、自らボウガンを買ってくれとせがむだけはあるな。


 その日、俺たちはホーンラビットを狩りまくり結構な額のお金を手に入れた。


「この調子で稼げば新しいサビアを買えますね」


 そういったソニアの目は少し寂しそうだった。


 *


 そんな感じでしばらくの日々ウサギを狩りまくって稼いでいるとギルドの受付嬢のライムさんに呼び止められた。


「チカンさん」


「チカンじゃねーよ! 俺にはアルクってちゃんとした名前があるの」


「そうですよ、ライムさん。アルクさんはたまにジトっとした目でわたしを見てくるけど、決してチカンじゃありません」


 おい!


 ソニア、それフォローになってないから!


「そのジト目のアルクさんに指名依頼です」


「指名依頼だと?」


 俺たちのラビットスレイヤーの名声が轟いて、ついに指名依頼か。


 どこから依頼が来たのかな?


 騎士団からかな?


 まさか肉屋じゃないだろうな。


 でもライムさんの依頼はウサギ狩りとは関係が無かった。


「ずっとFランクのままではギルドとして困ります。そろそろ昇級試験の依頼を受けてEランクに昇格して下さい」


「そう言われても、俺たちはウサギしか狩れないしな」


 ライムさんは有無を言わせぬ毅然とした態度で、俺の苦情をスルーする。


「拒否権はありません」


「昇給試験てなにをすればいいんだ?」


「この荷物を隣村に届けるだけです」


 あーん。


 わかったぞ。


「報酬低いわりに時間が掛かって面倒で誰も受けたがらない荷物配達の依頼を、昇級試験と偽って俺たちに押し付ける気だろう?」


「荷物運びみたいな簡単な依頼で昇級できるんだからいいじゃないですか」


 ライムさんは図星だったらしく、目を泳がせ吹けない口笛を吹いていた。


 *


 ギルドの指名依頼を拒否できないのは事実なので、俺たちは隣村に荷物を届ける依頼を受けることにした。


 隣村迄丸一日掛かるけど、街道にはモンスターも盗賊も現れないので気楽な旅路だろう。


 俺たちは遠足気分で出掛けることにした。


 道中、暇だったのかソニアが聞いてくる。


「アルクさんの天職はなになんです?」


「チ……」


「チ?」


「チカン師だよ。謎の職業チカン師!」


「聞いたことの無い天職なんですけど、それってどんな職業なんですか?」


「しらん」


「しらないんです?」


「だってスキルをひとつも持って無いし、戦ってないからずっとLV1のままでスキルを全然取れないんだよ」


「じゃあ、チカンらしく試しにわたしの胸でも揉んでみます? 条件達成でスキルが貰えるかもしれません」


「そ、そんなことしねーよ!」


 結局、村のギルドに荷物を届けたあとウサギを狩ってレベルを上げてみることにした。


 俺でもモンスターが狩れるのか?と疑わしかったけど、ソニアが詳しくやり方を説明してくれた。


「いいですか? ホーン・ラビットはわたしが仕留めますから石でも剣でも構いませんから先に攻撃して下さい」


「倒さなくてもいいのか?」


「ええ、倒すのはわたしがしますから、攻撃を当てて下さい。当てるだけでいいです」


 もちろん、俺の攻撃はノーダメージだ。


 でもそれでいいという。


「倒す前に一度でも触れれば二人で倒したことになりますから経験値GETです!」


 日が沈むまでウサギ狩りを繰り返しているとレベルが3に上がってスキルを覚えた。


 覚えたスキルは予想通り『チカン』だった。


「やっと立派なチカンさんになれましたね」


「嬉しくねーよ!」


 こんなスキル覚えてどうするんだよ?


 試しにソニアに使ったらあんなことや、こんなことが好き放題出来るのか?


 でも、無理やりやったら愛想尽かれそう。


 やめとくか……。


 と思ったんだけど、手が滑った!


 わざとじゃないからな!


 俺はチカンスキルが発動したことでとんでもない物を目にした。

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