ポケットを叩けば小さな夕暮れ
掲載日:2025/11/25
ポケットを叩けば小さな夕暮れ
赤いランドセルが
まるで夕陽かのように
ジリジリと燃えていた
帰り道の笑い声を
絶対忘れないようにしよう!
って約束して
ポケットの中に仕舞い込んだのに
そのまま洗濯機へ、ぽい。
忘れて放り込んじゃった
くるり、くるり。
無機質な箱の中で回り続ける夕暮れ
どうか────
どうか、防水でありますように
もしもあの夕暮れが
遊んでついた泥汚れみたいに
すっかり溶けて
綺麗さっぱり消えちゃったら────
あの日のぼくらも
横並びの影も
帰りの時間を知らせるカラスの鳴き声も
蹴りながら帰った石ころさえも
全部一緒に流れちゃう気がして
胸の奥がきゅぅっと締めつけられる
洗濯機の窓を覗き込めば
雲の向こうで揺れる夕暮れ
あぁ、あの夕暮れのまんまだ!
回って、回れ。
あの夕暮れのように
あわあわの白い雲と赤い空を映して
どうか壊れないで
想い出の夕暮れ色は
今日もまたあの頃のぼくを
そっと照らしているのだから
ポケットを叩く
微かに聞こえる夕暮れの音
小さな小さな夕暮れが
今もぼくのそばで光っていた
ご覧いただきありがとうございました。
あの夕暮れの記憶はまだポケットの中に。
誰かに届きますように。




