第7話 ①豪華になった夕食
ダックスは女の人のまたぐらをぺろぺろとなめている。下の毛はきらきら光ってきれいだ。
「何見てんのヨ。すけべ」
と同時に、シーちゃんの回し蹴りが僕の背中に入った。
声が出ないが、絞り出して、
「このバカ女!」
と、シーちゃんの胸のあたりに視線をやると、もう1発けられた。
「ちわげんかは面白いね。夫婦かい」
「「ちがうー」」
〇×△
おっぱいをゆらゆら揺らした女の人は、小さな布で体をふいてから胸の周りに細長い切れを巻き付けて服を着た。水の中につけていたのを引き揚げて、
「どう、このイノシシを買ってくれないかい」
「爺さんに聞いてみるね」
僕はダックスの引き綱をもって、農場へ駆け出した。
「ハンターの人がウリボウを売りたいって」
「いいよ、ワインとチーズとで交換でよいかって聞いてきて」
〇×△
農場の北側には2本の川が東の海岸に向かって流れている。あと2kmほどで海にそそぐので、川幅は10mほどに広がっている。1本は少し上流にある湧水が源泉なので、透明でとても冷たい。もう一つ、山麓の樹海から流れ出している普通の川だ。でも、十分冷たい。城壁の東門のすぐ横で海に注いでいる。
僕の生活している荘園は、ブドウ畑といっても、相当昔、病気が蔓延して全滅した経験をもとに、小麦畑、オレンジの果樹園、野菜畑、ベルガモットの果樹園などが混在している構成になっている。
シーちゃんは親父の弟の子供で、その家族はオレンジとベルガモットの果樹園をメインに育てている。
森林を開拓したとき、川のほとりにも10mほどの幅で樹木を残し、タカ類が生息できるように工夫をしている。なんたってネズミやウサギ、蛇を狩ってくれるからね。
ハンターは、川の上流にある樹海の入り口付近の森で鹿やイノシシ、キツネを狩るそうだ。
爺さんは、夕飯を一緒に食べないかとハンターを誘った。
〇×△
ウナギは、頭をキリで板に止めて、三枚におろす。3等分して、それぞれ金属の串を数本差して、平らに開く。鍋に水を入れて火にかけ、その蒸気が上がる上にウナギを乗せて10分ほど。
塩かオレンジとレモンを混ぜて煮詰めたソースをかけて食べる。
いつも作業をしている中庭では、バーべキューをやってる。イノシシの肉もぶつ切りにして串にさし、軽く塩を振って火の上に置く。
ワインは水代わりに大人は飲むが、子供は、煮沸した水を冷やしワインを割ったの
を飲む。大人たちは、川エビを油でいためて塩を振ったのを、ワインのつまみに食べている。
爺さんは、森の様子をハンターに聞いてるようだ。今年はキツネも多く、本国からもハンターがたくさん来ているそうだ。