第36話 ③町工場を設立
テレサは軍をやめて、工作機械を作る会社を作るという。資金の半分をブリジッタが出して、共同設立者になった。テレサは貯金がなかったので、商業ギルドで借金をした。
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最初に作ったのは水平器。鉄の棒を削って、それぞれの面の平行を出す。基準はテレサ本人の感覚。次は、10mm以下の厚さを測ることのできる、手のひらに乗る測定器で、0.1mm±0.05mmの精度が目標だ。
鉄の鋳物で機械の土台を発注した。長さ1.5mの幅50cm。上の面を鋼のノミで薄く削っていく。そうすると、平らな水平が出せる。根気のいる仕事だ。
もちろん、鋳物は直方体で、上下の面は平行なはずだが、出来上がったものは少しひずんでいる。
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ブリジッタは、小さな部品の組み立てを手伝っている。部品が小さいので、ねじで互いに止めるわけもいかず、長期にわたって強度を維持できる接着剤もない。ぎりぎりの大きさではめあいを作り、そのままでは押し込めないが、超音波で振動を与えると、パチッと組み合わせられる。
半年ほどして3台の精密旋盤が出来上がった。
とりあえず、古巣に営業して購入してもらった。
半年ほどで、社内の工作機械もそろってきた。古巣から紹介してもらったほかの軍関係の製造所に精密旋盤はよく売れた。
個々の部品の精度をできるだけ上げたいが、そうすると製作時間が膨大になる。持ち前のバランス感覚で、組み上げた後の微調整をして、精度を上げるように努めた。
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精密旋盤は、製造に時間がかかるので、利益を出しにくい。
そこで、半自動はた織り機をつくことを思いついた。こっちは民生で、精度よりも効率を求められる。糸のセットや補給を自動化し、ほぼ24時間布を織ることができる。
最初は白などの単色。次は複数の色の糸を同時に扱えるはた織り機を作った。
平織はクリアしたのでヘリンボーンに挑戦した。少し厚手の糸も使えるようにした。
二人では受注をさばききれなくなったので、少し大きめの工場を作って需要を満たすことにした。
ブリジッタのおかげで、キーになる部分を故障の少なくできたはた織り機を量産でき、ライバルとの差を広げた。




