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豊穣の国へ  作者: yoshi2024
28/39

第28話 ①赤ワインは夢を見る

 3年たった。マルコは15歳、毎朝、朝立ちが収まらなくて困っている。

 3年寝かした新しいワインは、市場に出回ったら数日で消えてしまった。まだ量が少ないのもあるが、その後病気も発生しないので、荘園では全面的にマルコ苗に植え替えた。


〇×△


 ワインの貯蔵庫は、荷車にのせて40分ほどかかる、ある崖に掘った横穴を整備して使っている。少し外気より涼しく、湿気も適度にある。

 50年を超える古いのもあるが、今年のフレッシュなワインも人気がある。


 突然、港の方向から、鐘を打ち鳴らすカンカンという音が聞こえてきた。

 南の岸のほうからは、最近設置された大砲の轟音が聞こえてくる。


 子供たちは、川べりの小屋に集合するように小さいころから聞かされているので、一目散に走っていった。シーちゃんを含め、悪ガキがそろっている。湧水が源流の川から水を汲んできて、一度沸かして、飲みものように甕に保存した。

 樽を開けると、中には乾燥した肉やイモが入っていた。

 海賊が去ったら、だれか呼びに来る手はずだったが、2日たっても誰も来ない。


〇×△


 3日の朝、隠し扉をだれかがたたいて、

「シーちゃんの尻は」


「でかい」


 朝日がものすごく明るくて扉を開けても何も見えなかった。でも、扉を開けたシーちゃんの親父さんの表情は曇り切っていた。


 いつも食事をする広場にはむしろが四つあった。

「マルコ、確認して」

 爺さん、父、母、長男が死んでいた。

 シスターが僕を抱きかかえてくれたが、胸にうずまり息ができなかった。したくもなかった。


〇×△


 海賊はワインが目当てだったようだ。倉庫は空っぽになっていた。

 家族が殺された理由はわからなかったが、みんなレイピアで心臓を刺されていた。

 葬式とかで1週間が過ぎたころ、姉が戻ってきた。

 荘園関係者は、僕が継ぐしかないという結論になっていたけど、ここにはいたくなかった。思い出はいっぱいあるが、いたくない。


姉が、

「私のところで引き取ります。荘園は共同で運営してください」


「私もついていく」

と、シーちゃんが泣きながら訴えた。


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