第27話 ③男爵 はて?
漁協ギルドに置いた本は数冊すでに売れていて、目ざとい商人の手にわたっていた。写本が作られ、なんと金貨10枚に跳ね上がっていたが、有力漁師は購入し、マグロを追った。
北側大陸の多くの船がマグロを追いかけるようになって、近隣の生活は向上した。そうした賑わいを知った王家の次男坊はその本に書かれていたブリジッタのサインをもとに探し出して連れてくるように、冒険者ギルドに依頼を出した。
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探索は難儀を極めた。湾岸都市ラグーサが本の出どころだというのは突き止めたが、漁協ギルドは知らないというし、一緒に住んでいた男をたずねたが、知らぬ存ぜぬだ。なんかかわいい奥さんが横に座っているし子供はハイハイしているし。
やっとのことで、ブリジッタの両手が切断されたところまでを話してくれた。
港での聞き込みでは成果はなかった。2年も前の話をだれも覚えていない。
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次男坊は、王に男爵に咀嚼するよう進言し、それは通った。マグロの書籍を書いたブリジッタを探すように公示を出した。
軍曹のゲオルグに少佐がその公示を見せて、テレサに連絡を入れた。
「王宮に行くか」
「そうですね。でもドレスコードに合うドレスがありません」
「私は軍服があるからよいけど」
「軍曹2か月ほど休暇を願います」
テレサは町に行ってドレスを注文し、海路で王宮の近い港まで行き、馬車で王宮に二人で向かった。
門番は、証明するものを出せという。関係書類は持っていないし、ずっと夕刻まで待たされた。いったん街に戻り、宿舎で考えた。翌日冒険者ギルドに経過を話したら、王宮からの依頼を覚えていてくれて、担当した冒険者を紹介してくれた。
話はとんとん拍子に進み、門番に渡す書類が出来上がった。三日後に拝謁しろとのこと。
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王宮の控えの間で待つこと2刻。アールグレイと焼き菓子がふるまわれた。
テレサは形だけのカテーシーをとり、テレサは右手を胸に回し、頭を下げた
「面を上げよ」
「マグロのこの書籍を書いたのはそなたか」
「はい、私です。一緒に漁場に出かけたのはエンゾーですが、ここには来ていません」
「そなたは」
と、テレサに向けて聞く
「川のほとりで死にかけていたので助けました」
「それは警備とかの途中かね」
「いえ、休暇中のことです」
「ブリジッタよ、ちこうよれ、男爵の爵位与える」
近づいて羊皮紙を受け取るが、
「どうしたのだ、その手は」
「裁判にて判決を受け、切り落とされました」
「なんと、どこだ、どいう理由で」
宰相が調べたことを耳打ちした。
「一生働かずに暮らせるように金貨500枚を渡す」
「お願いがあります」
「なんだね、テレサ君」
「義手を作りたく、スキルを持った職人を紹介していただけないでしょうか」
「そうだな、このままでは不便極まりない。宰相、あとで聞いてやってくれ」
「ところで、君は軍でどういう仕事をしているのかね」
「申し訳ございません。この場では言いかねます」
「そうか、人払いを」
「殿下の腰につけているオペラグラスを考案しました」
「これはコンパクトだし明るいので重宝している。で、本職は何だ」
「大砲を作っています」
「そうか、たしかに秘匿事項だな、これは」




