第16話 ①これは奇跡か
あれから3年たった。
僕は、ダックスのおなかに手を当て、胴長になーれと願っていた。今年生まれた子供たちは親犬より2割ほど胴が長い。ウサギ狩りに適しているはずだ。
〇×△
秋になって、爺さんが叫んだ。
「奇跡だ、これほどあまりいブドウは初めてだ」
わらわらと人が集まってくる。僕のブドウ園だ。僕が甘くなーれと祈って植えたブドウがすごく甘くなったらしい。
8歳になった僕の誕生日をみんなが祝ってくれた。
荘園の中でも一番条件の良い南の斜面を、僕のブドウで苗を作って入れ替えると爺さんはぶち上げた。3年後が楽しみだ。
〇×△
今日は日曜日、教会に出かけて、司祭さんのありがたい話を聞いて、お菓子を食べる日だ。
幼なじみのシーちゃんとだべりながら到着すると、シスターのアンナが飛びついてきた。胸が大きいので鼻が挟まれて息ができない。シーちゃんが
「なにやってんのよ」
って言いながら回し蹴りを背中に叩き込んでくる。パッとシスターが横を向いて避けてくれた。ナイス!回避
「きてきて」
と、胸に僕の頭を抱いたまま、裏の畑へ。
「すごいでしょう。とげのないバラができたのよ
それに、こっちのは春にも咲いていたから、今年二度目の開花よ」
なんて幸せなんでしょう」
「僕は苦しいよ」
〇×△
オレンジ果樹園に行くと、シーちゃんの親父がニコニコして近づいてくる。
「すごーく甘いのが採れたよ。この新しい苗で、果樹園を一新だ」
「病気とか調べないといけないから、少しずつ入れかえてね」
とくぎを刺す。
ベルガモットの果樹園に近づくと、強烈なにおいがしてくる。新しく植えたベルガモットの実をとって半分に割っていたら殺気を感じたので、しゃがんで後ろを振り返ると、大きくけりだした足が見え、尻も何もみんな見えている。
「よけるなー」
よけるにきまってるよ。子供は下着をつけないことが多い。
実からは強烈なにおいがしてくるけど、いやな香りではない。
言葉では表現できない匂いだけれど。




