第13話 ①ベルガモットの良い香り
オレンジとベルガモットの果樹園を担当しているシーちゃんの家でも、接ぎ木をして新しい苗を作ると聞いて手伝いに出かけた。
オレンジはシチリア島の特産だ。長年甘みを増す品種改良がおこなわれているそうだ。なので、今回も、そのなったらいいなーと、接ぎ木する枝を選んだそうだ。
僕は、苗を両手でつかんで、女神アンジェリーナへ、あまーくなーれと願った。
〇×△
ベルガモットは、食べるというより香りが良いので、精油を作るのだそうだ。毎年の新しい苗は、強めの香りが出ることを期待して植えている。
「強めの香りってどういうの」
「かぐとにおいに惑わせるような感じ」
「わかんない」
「ガツンと来るけど、さわやかみたいな」
「へー、シーちゃんみ」
言い終わらないうちに、背中に回し蹴りが入った。
「いてて、何すんだよ」
「その口つぐめ」
女神アンジェリーナへ、シーちゃんみたいな性格のにおいになーれ、と願った。
爺さんが来ているので、成長促進のスキルをかけてもらい、新しい畑に植えに行った。
〇×△
お手伝いしたので、夕食を誘われた。
塩漬けにした白身魚の塩を抜いて、オレンジを煮付めたオレンジソースをかけた魚料理。おいしかった。
「いいなー、シーちゃんって、いつもこんなおいしいの食べてるの」
シーちゃんのお母さんは、
「未来の旦那様だから心を込めたんだよね」




