第12話 ③魚でひと財産
地引網は、週1回ぐらいやっていると、それなりに個人にお金が入ってきた。院長には褒められるが、私が孤児院を出て行って、何かしら稼ぐ方法には乏しい。
ブリジッタは露店の魚屋に出入りしていると、若い漁師と知り合いになった。
「今度船に乗らないかい。ま、小さいけどね」
と誘われ、翌日、まだ日が出ていない早朝に海に出た。
「まだ眠いよね」
「いつもこんなに早いんですか」
「魚の都合だもんね。
潮が満ちると、魚たちが朝食を取りに移動を始めるんだ。そのときを狙って網を入れると、よく獲れるんだ」
漁に使っている船は、一人で帆を制御して風を頼りに進む。案外スピードが出る。季節によって風の吹く方向は変わるそうで、潮の流れも時間帯によっても変わるので、そうとう経験がないと、目的地には到達しそうもないとブリジッタは思った。
どうも網を入れる場所は決まっているようで、そこに到着すると、長ーい網を海に投入し始め、終わると、休憩のようだ
「この時期、この場所が一番魚が通るはずだけど」
私は何気に、両手を海に入れてぶらりとしていたら、何やらてのひらがモゾもしてくる。手のひらをいろいろな方向に向けると、今網を入れたとは逆のところが一番もぞもぞする。
二人で、網を引き揚げたが、ほとんど魚は獲れていなかった。
試しに、あっちに網を入れてみては、と提案をしてみた。
今度は大漁だった。
〇×△
なぜ、もぞもぞしたのかわからないけど、どうも魚がいる場所がわかってしまうような気がしたが、何も確証があるわけでもないし、疲れて寝てしまった。
翌日デートに誘われた。
夢は、シチリア島の南を回遊する大きなマグロを釣り上げることだという。




