修行の日々
ミリアさんとは、年も近いこともありすぐに打ち解けることができた。
年齢で言うと、私より2才程年下で10才だった。実のところローザちゃんは、孤児なので正確な年齢はわからないが。
…。ミリアさんとは、実際の年齢はかなり違うが。
性別まで違う…。
いや、今の私は、ローザちゃん12才(推定)である。
「じゃぁ、ミリアちゃん?」
さん付けも遠慮されているので、ちゃん付けで読んだら
「それ、良いです。嬉しいです。ローザさん。」
「じゃあ私も、さん付けいらないよ。」
「でもローザさんは、年上ですし…。では、お姉さま?」
照れながら言うミリアちゃんカワイイ。でも、おねえさま。とは?なんかいい感じだが…。良いのかなぁ
ミリアちゃんは、長女だったこともありお姉ちゃんが欲しかったそうです。
本当は、だいぶ年上のお兄さんだけど、頑張ってお姉さまもやってみるよ。
お兄さん…。オジサンとかオッサンとかって、言われたくないもんで…。
それから数日たった。修道院の暮らしにも少し慣れてきた。
修道院の朝は早い。
暗い内に鐘が鳴って、起床。
起きて身支度した後、自分の部屋、寮、教会を掃除する。聖女候補の二人の担当は、教室の掃除。掃き掃除と拭き掃除。協力して行う。
ミリアちゃんは、公爵令嬢でお嬢様なんだが、なぜかテキパキと掃除をこなしていた。
「実家では、さすがに使用人がいるのですが…。ここに来る前にも、とある修道院にいましたので、慣れていますの。」
公爵令嬢と生まれは超上流階級なのに、偉ぶらず本当に、いいコである。
後で聞いた話だが、ミリアちゃんには許嫁がいたのだが、魔物に襲われて帰らぬ人になってしまったそうだ。その彼に祈りを捧げるために、他の修道院に通っていた。そこで、聖属性魔力持ちだということが分かり、聖女候補として、ここにやってきたとのこと。
修道院では、身分の違いは無い。厳密には、あるのだろうが、修道女としてやるべき事は、身分関係なくやるのだそうだ。
ミリアちゃんとしては、それが心地よかったと言うか、公爵令嬢と言うことや、また婚約者を亡くしてしまったことを忘れられるというか、気を紛らわせる貴重な経験だったそうだ。
「数度しか会ったことは無いんですが、将来を誓った仲でしたの。」
許嫁が亡くなった事、幼い少女としては受け止めること難しかったとは思うが、修道院のような所で、やるべき事を言われてこなす日々が、良かったのかなと思う。今では、元気な笑顔をみせてくれる。
用事をこなした後、朝ごはんまでは少し時間がある。
この間に、身の回りの事を整えたり、読書をしたり、祈りを捧げたりする。
私は、この時間を体力作りに当てたいと思った。
まずは、教会回りの散歩から始めることにした。
1日毎に歩くことが、少しずつ楽になり、歩ける距離も増えてくる。少しずつだが体力がついているのがわかる。なんだか楽しい。
地球の感覚だと、2時間毎に鐘がなるようだ。
1日の私のスケジュール。
最初の鐘、4時起床、清掃作業
次の鐘、6時作業終了。お散歩
8時、朝食、朝のお祈り。
10時、座学。聖女の事。聖属性の魔法についてなど
12時、昼食、お昼寝
14時、昼のお祈り
16時、自由時間、読書など
18時、清掃や夕食準備などの後夕食
20時、夜のお祈り、就寝
こんな感じで1日が過ぎる。
聖女だけあって、お祈りの時間が多い。
お祈りでは、聖属性魔力を外に発散したり、体内で練り込んだり、座学で習った事を実践していると、魔力が上がっていく感覚がある。
これで聖属性魔力の能力アップが、図れているようだ。
座学では、前述した聖属性魔力の扱い方や聖属性魔法学ぶ。1月もすると、初歩的な回復魔法なんかも使えるようになった。
以前、バラックに施したような魔力を流し込むなんて乱暴なものではない、ちゃんとした?回復魔法が出来るようになった。
昼のお祈りの後、教会に来る方々に回復魔法を施したりして、実践経験も積んでいます。
寄付は頂いているようですが、本当に心付けと言う感じで、まぁ悪い教会では無いのかなって思ったりしています。
なんだかんだで、教会に来て大体半年が過ぎました。
こちらでも1年って暦があって、季節が過ぎていく感じ。
ローザちゃんになって、半年…。
体力も大分ついてきたし、聖属性魔法もいろいろ憶えた。
いろいろありましたよ。
この身体、12才だったので、当然というか当たり前のように月のモノが始まったり…。
すげぇパニクったけど、ミリアちゃんが助けてくれました。貴女が、お姉様だよ。頼りになる。
ミリアちゃんは、私より少し早く経験してた。早いかなって思ったけど、10才って事は、小学5年生って事だから、アリなのかなぁ?
小柄だけど、女性的な発育は、私よりも進んでいるし…。
でもこの経験って、聖属性の回復魔法やら浄化魔法やら、役に立つんだって実感した瞬間でしたよ。