将来のコト
「ボクは、ゴート。よろしく。」
ロゼちゃんと握手するゴート。幼馴染みって感じか?なんか良いなぁ。
「ゴート君は、強いの?」
ロゼちゃんが聞く。ん?強いとは?
「ボク?強いのかなぁ、わかんない。父ちゃんは、強いけどね。」
「私のお父様より?」
イヤイヤ。アナタのお父様って、バラックでしょ?
そんな人いないって。
「スマンな。ウチの国だと、価値観がそれだから…。」
バラックが、ちょっと言いにくそうに謝る。
魔族との境界線の国。戦いに備えて強いって事が、一番なんだよね。仕方ないな。
「うーん。ロゼの父ちゃんって…。」
ゴートがバラックを見て考える。本能的に、彼の強さがわかるのかな。
でも彼の一番は、父親であるピータだから答えられないよね。
「さぁ、少年たちよ。お仕事の時間だ。」
ピータがタイミングよく声をかけた。草原には数匹のイモムシいる。
イモムシと言っても、ゴートより大きい。
弱らせて、虫かごに入れる。ポケットモン…。じゃねぇけど、あの要領だよ。虫かごは魔道具になっていて、魔物を収納することができる。
でも、イモムシ大きいよ。大丈夫か?手伝う?
私が出ようとすると、ピータに腕を掴まれる。
「大丈夫だよ。ゴートならやれるよ。」
2人の娘と遊びながら、私を止める。相変わらず器用なヒト。…大好き。って、違う。いや、違わないけど。
ロゼが棒でイモムシを叩く。ゴートがフォローしてイモムシ捕まえる。
連携ができている。なんか凄い。
「ロゼちゃん。強いね。」
「あぁ、アイツは強いぞ。親バカじゃなく。今では大人ともわたりあえるぞ。」
バラックには、自信がみなぎっている。
えっ?ロゼちゃんまだ8才だよね。大人ってアンタのトコの脳筋騎士団だよね。
「天才なの?」
「ふはははっ。たまにエイタが来て鍛えてくれるからな!」
なんでも、魔力を使う戦い方が、勇者の戦い方に似ているらしい。
アーシャさんは、出産で魔力を使い果たしたらしく、エイタしか教える人がいないんだと。
「エイタ…。さん。元気なんですね。」
「おう。今は勇者じゃなくてプロレスラー?らしいけどな。意味わからんよな!」
確かに意味わからんけど、元気なら良い。
覆面だとデストロイヤーだったって言って、フェイスペイントに変えたらしい。意味不明だけど、正しいか。
魔物にプロレス技…。キメにくいだろうなぁ。
4文字固めとかどうやるんだろ。結局、飛びヒザ蹴りで決めてるみたいだけど…。
それにアイツ、ムーンサルトできるんかねぇ。アレできんと、認められんよ、アタシは。
…どうでも良いか。
「あ、危ない。」
ロゼちゃんが背後とられてる。ピータを見ると
「だから、大丈夫だって。」
アナタが言うならそうなんだけど。ゴートは私がお腹を痛めて産んだ子なんだよ。心配だよぉ。
ロゼちゃんの体勢が悪い。一発必中の一撃で倒すスタイルは攻撃後にスキがでやすい。
あれっ?イモムシの動きが遅い。ゴートが糸のようなものを使って、動きを止めてる。
ゴッ。動きの止まったイモムシをゴートが棒で叩き、体勢を立て直したロゼがトドメを刺す。
うん。いいコンビだ。ロゼちゃん、ちょっと強すぎるけど、ウチの嫁にどうかな?
無事、イモムシを捕まえてハイタッチする2人を見て、妄想が捗る。
ロゼちゃんなら、マギーとカーラの良いお姉さんになりそうだし。ゴートがお婿さんでソーディアムに行く未来も良しかな。イヤイヤ、寂しいからやっぱ嫁に来てほしいかな。
とか思ったり。
「もう十分捕れただろうから、休憩だぞ。」
ピータが2人に声をかける。お弁当食べようか。
「作りすぎたから、2人の分もあるよ。」
「おぉ。俺らの分はこれで良かったんだが、正直助かる。」
それ軍用の携行食だよね。娘に食わせるもんじゃないよ。
「お、美味しい!」
ロゼちゃんが目を輝かせる。
「そう。いっぱいあるから、どんどん食べてね。」
褒められると嬉しい。お世辞とかじゃないだろうし。
「うん。母さんの料理は美味いだぜ!」
ゴートが誇るとこじゃないんだけどな。
「うん。羨ましい!あ、それに、ゴート君って、強いんだね!」
お、恋する乙女の眼差しか?ちょっと違う気もするが。
「いや、ロゼちゃん。強すぎるから…。」
ちょっと元気なく答えるゴート。ロゼちゃんが強すぎるからヘコんでいるのか?
うん、少年よ、精進するが良い。
「おう。ロゼと組める同世代の子どもってのがなかなか居なくてな。ゴート君またロゼと遊んでくれよな。」
バラックがゴートに言ってくれた。
「はい。ボクも凄く楽しかったです。」
ゴートが答えるとロゼちゃんも
「はい。お父様。私より強い男のコに初めて会いました。」
ん?控えめに言ってもロゼちゃんの方が、ずっと強いと思うんだけどな。
好きになる人は、自分より強い人じゃないとダメってのが前提にあったけど、ゴートの事を気に入ったので、ロゼちゃんはゴートに事を自分より強いと思い込んでしまった。と、後々ですがわかりました。
フクザツな乙女心なのね。私、天然の女のコじゃないから分からないのよね。
虫とりは、凄く楽しかったね。って言いながら帰路につきました。
その後、バラック家とはちょくちょく遊ぶようになった。
後日。
「母さん。コレ、プレゼントだよ。」
春、好きな女のコにプレゼントを渡す日があって、バレンタインデーの逆バージョンみたいなやつなんだけど。
「ん?何?」
おぉ。ネックレスだ。
「ボクが買ったんだよ。」
え?あれか。お小遣い欲しいってやつ。私のためだったの?
「あ、ありがとう。」
うわぁ。
頭の中を今迄の子育ての記憶が走馬灯のように駆け巡る。
大変だったけど幸せだった。歓喜余って、泣けてきた。
「え?ごめんなさい。気に入らなかった?」
泣いている私をゴートが心配そうに見る。
「あ、違うくて、嬉しすぎても涙って出るから…。」
ギュッと、まだ幼さ残る息子を抱きしめる。
この世界で、ローザになって良かった。
本当にそう思うよ。
貰ったネックレスだけど、常に肌身外したくなくて、アレの時も付けたままにしてたら、流石にちょっとなー。って言われちゃったよ。
息子にジェラシー感じてんじゃねぇ!
って思うけど。気持ちはわかるんだよなー。
私、イヤ、俺も息子がいたからさ。




