ゴート君8才。虫とりに行く。
明日はピクニックです。魔物退治じゃないよ。
家族でおでかけなんだから、ピクニックなんです。
息子のゴートは8才になり、わんぱく盛りです。
5才のしっかり者の妹、マギー。
2才のおませさんの、カーラ。
2人の娘も出来て、賑やかな家族になっています。
男の子可愛かったし、男の子ならもう一人くらい欲しいな…。なんて思ったり…。
愛する旦那さまも同じ意見のようで、拒否する理由もなく。3人も産んじゃったけど、私自身、まだ三十路にもいってない若奥様だし、まだまだ元気。まぁ、頑張ってますよ。
欲しいからスルのか、シタいからデキるのか…。
永遠の愛のテーマだな。
そういう事だから、家族が増えるのも時間の問題ってヤツかな。
それも、幸せってヤツだよ。
それはおいておいて。
これまで大変だったけど、学園も出来て最初の卒業生を送り出せた。
もう感無量である。
ただ、初めてだっただけに、試行錯誤のカリュキュラムになってしまった。カーラを出産したことを言い訳にはしたくないが、もう少し出来た事もあったと反省もしてる。
それでも、彼らが騎士になったり、宮廷魔道士になったり、他にも冒険者になったコもいた。卒業生たちが、学園生活の3年で力をつけて、希望の進路に進めたのは、良かったかなと思っている。
子どもたちの成長って凄いね。私も勉強になります。
私だって、まだまだ成長してるもんね。
そう、それで今日はね、虫とりのピクニックなんです。
イモムシの魔物を捕まえて、生糸工場に持って行くと買い取ってくれるってシステムがこの世界にある。
おかげで繊維業は盛んで、シルクのような生地の服がこの世界には豊富。下着に関しても、着心地の良い品が多く助かってます。
でもシルクって、前の世界で縁なかったから、わからないんだけどね。
ゴートがお小遣い欲しいって言うから、虫とりしてお金すれば良いと、父親に言われたらしく。
「母さん。虫とり行きたい!」
純粋無垢な瞳で、ウルウルっと見つめてくる。
「虫とりって、お庭にいるじゃないの。」
蝶々とかバッタの類いなら、庭にたくさんいる。
「そうじゃなくって、糸とるやつ。お小遣い欲しいんだ!」
「えっ?それって魔物だよ。危ないって。」
「父さんがボクでも行けるって言ってたよ。ダメかなぁ?」
ん。ピータが良いって?
ピータと鍛錬するのが日課になっているけど…。
5才の時から
「かーちゃんは、ボクがまもる。」
って言って、ピータに鍛えてもらっている。
ふふふっ。がんばって強くなって、守ってね。
って、息子の成長、嬉しいものです。
エイタからは、そんな事言われた事無かったな。
って、普通父親を守るなんて言わんか…?
母親の特権だね。頑張って産んだ甲斐があるというものです。ふふっ。
でも、ピータが良いって言ったのか?それなら、このコって、そんなに強くなってるの?
確かに、イタズラした後の逃げ足は半端ない…。
大丈夫か…。
あ、ピクニックなら、お弁当を作ろう。
ちょっと、と言うか大分作りすぎたかな。ちょっと張り切ってしまった。
王都から、2時間程馬車で移動すると、イモムシの魔物の生息域。この辺でイモムシを捕まえるらしい。
「王都近くでは、穴場なんだよな。ゴート、準備だ」
ピータの秘密の狩場の一つなのかな。
8才の少年が、馬車から網やら虫かごやらを取り出す。
「でも、このコたちもいるし、イザって時助けられないんじゃない。」
ピータが2人の娘の手を繋いでる。私はもう現役じゃないし、元々戦闘職じゃないもんね。
「あ、大丈夫だよ。助っ人頼んでいるからね。もうすぐ着くよ。」
器用に2人の娘とジャレつきながら、ピータが笑う。
ゴゴゴゴッ。何かが近づいてくる。
大袈裟に言うと、山が動いてくるような感じ。
ま、大袈裟に言うとだけどね。
2m以上ある大男が走ってくるから、そう見えるんだよ。懐かしい顔だ。
肩に、ゴートと同年代の女のコを載せている。
「久しぶりだな。ローザ。」
「バラックさん。お元気そうで。」
王都に偶々来ていたバラックに、ピータが声をかけたらしい。
「ビックリした?サプライズってヤツかな。」
ピータがイタズラっぽい笑顔を見せる。
共に死線を乗り越えた中である。何だか嬉しいものである。が、助っ人がバラックとは、オーバーキル過ぎんか?
肩に載せていた女のコを降ろすと、
「ロゼ。あいさつしなさい。」
「はい。お父様。」
おぉ。バラックとアーシャさんの娘さんか?
ゴートと同い年。少し背が高いかな。顔はバラックの面影あるけど、アーシャさんみたいにスラッとしててカワイイ。
大切な事は2回言いましょう。
めっちゃ、カワイイっす。
「ソーディアムのロゼと申します。よろしくお願いいたします!」
ペコっと、頭を下げるお嬢様。おぉ、カワイイ。




