次世代に向けて
瑛太、エイタ。佐藤瑛太。
私が考えた名前だ。
とはいえ、瑛一郎から一字取ってつけた名前なのだが。
妻から、名前を考えるのはお父さんの仕事だよ。
と言われて、寝ないで考えた名前。
良いと思うよ。あなたに似て良い子になると良いね。
って言ってくれた。
あの頃も幸せだったと思う。
なんでもないことが〜、
なんて歌いたいくらいには。
妻は、瑛太が立ち上がる前に、天国へ行ってしまった。でも、私には、瑛太がいた。だから、一人にならずにすんだ。
母と子には、もはや切ることのできない絆がある。
この赤ちゃんは、私が私のお腹で育って、今も私から栄養をとって体を作っていく…。
父親には、それができない。せいぜい粉ミルクとかしてあげたり、オムツ変えたり。
名前を付けることで、妻が作ってくれた瑛太と俺の絆。かけがえのない息子と父として、この世界に来るまで生きてきた。
今だって、その絆は変わらないはず…。
だから、名前は父親であるピータに考えてもらった。
「ゴート。君はゴートだ。」
彼は、産まれた男の子にゴートと言う名前をつけた。
「ゴート。どうかな?古い言葉で守るって意味なんだ。」
不安そうな表情で聞いてくる。思い出すよ、私も賛成してくれるか、不安だったよ。
日本人的には変な名前だけど、こちらでは問題ないし。ゴートだと言われると、この子はもう、ゴートだよ。
そうだ。私も同じように答えよう。嬉しかった言葉を。
「良いと思うよ。うん、いい名前だね。ゴート。きっと、あなたに似て良い子になるよ。」
ピータにそう言って、「ゴート」と寝ている赤ちゃんに語りかけると、小さくて愛おしいゴートが、笑った気がした。
ーーーーーーーーーーー
近いうちシャドが魔王になる。私達がケリをつけないとダメな相手。でも、私達には、人族としての寿命と言う宿命がある。
エイタとバラック、エリスにピータ。そして私が戦える間に、勝負したいけど。ずる賢いシャドの事だ。魔王になっても斃されない状況になるまで、待つかもししれない。
私は学園を作り、人材を育成する。学園には、学術研究としての役割もある。魔法を研究して進化させて、魔王に対抗する力を持つためだ。
エリスは、独自に魔王に対抗する手段を研究している。
バラックは魔族領との境界線に強い国を作って、魔王の侵攻に備えている。
ピータも学園を手伝う傍ら、商会を立ち上げ、魔道具の開発とか、色々と手広くやってる。
皆、準備しているんだ。
そして、次世代の話になる。
エイタとエリスの息子がリュウ。
エイタの勇者としての資質を継げば、次の世代の中心になるだろう。
ミリアちゃんの妹のアリアちゃん。
ゴートより1つ年上。許嫁にどうかなって思うけど、実は大貴族のハートランド公爵のお姫様。身分違いかな?
ゴートだって聖女と英雄の息子。捨てたもんじゃないよね。
ミリアちゃん曰く、アリアちゃんからは、1歳にして聖属性魔力を感じるらしい。
「アリアは、天才なのです。」
って。ミリアちゃん、叔母バカと言うのだろうか。
アーシャさんは、女のコを出産した。魔族が、人族とのハーフを出産する例は無かったそうなのだが、アーシャさんが、魔族の持つ魔力を全て使い尽くす事で赤ちゃんを守り、無事産まれたそうな。
詳しくはわからないのだが、アーシャさんの持つ魔力を全て、赤ちゃんに託す儀式らしいです。
バラックの身体能力とアーシャさんの魔力を引き継いで、弱いはずは無いよね。
…。ウチの嫁にどうだろうか。ってそれはもう良いか。
ゴートと同い年では、魔族の侵攻を食い止めた北の武闘派貴族に息子が産まれたり、魔力が高い高位貴族の3家に娘が産まれたり。
次世代は、今より安泰かもしれない。
とは言え、魔王なんか倒せなくても、このコが元気に育ってくれれば、私は満足ですよ。
次の魔王がシャドなら、話せばわかってくれる気がするしね。
魔王とか魔物とか、こっちの世界は物騒で。
ピータには守ってもらってばかりだけど、このコは私が守らないとね。
いや私達が、守るんだよね。




