イザってなるとちょっと恥ずいな。
ミリアちゃんが帰った後、ピータが帰ってきた。
新しい学園の学園長は私だけど、実務はピータがほとんどやってくれている。優しくて優秀な旦那様なんだ。
最近は、自分でも商会立ち上げて、商売もしてるらしい。魔王討伐の褒賞なんかを元手にかなり手広くやっているって聞いた。素直に、すごいなぁって思う。
「ただいま〜」
「おかえりなさい。」
愛する人をおかえりと言って、迎える日々。
幸せだなあ。
でも、ちょっとは私も学園の仕事しないとね。ピータの負担を少しでも軽くしないと…。
制服着て喜んでいる場合じゃない。
夕食は、いつもよりも少し、頑張って作ってみた。。
少し吐き気がしたものの、大丈夫。ピータの好物を並べてみた。
「お、今日もご馳走だなあ。これ好きなんだよ。」
「うん。知ってる。」
喜んでくれて、笑顔になる。でも、もっと嬉しいこと報告しないとね。
「でな。図書館は広い方がいいと思うんだよな。一般にも開放したいし。」
ピータが仕事の話をする。イキイキと話してくれる。仕事楽しいようで良かった。
「あ、それは賛成だけど、予算は大丈夫?」
私も仕事の話は、夢中になるし楽しい。何かを立ち上げるのって、パワーいるけど、やりがいって凄いね。
「うん。計算してみたけど、問題なさそうだよ。」
ピータの商会の目玉商品になっている計算機を取り出す。
「あれ?それ新しくなってる?」
「うん。前は足し算と引き算だけだったけど、掛け算割り算できるようになっているし、必要な魔石も減らせた。」
「凄いじゃん。見せてみて。」
ピータの商会の話もしてくれる。私の異世界(地球のことだけど。)の話も新商品開発の助けになっているそうで、計算機とかもそうだし色々やっている。
あ、話損ねてる。
どう切り出そうか考えて、ちょっと黙ってしまった。
「あ、俺が話してばっかだな。」
「あ、いや、大丈夫。あなたの話、面白いし。」
あ、そうじゃなくて、言わなきゃ。
「そっか。あ、今日、ご馳走だったし、あっ。」
ピータが何か感づいたようだけど、多分違う。ヤル気を出されると困る…。
「あ、いや。そうじゃなくて。」
でも、そう勘違いされると、想像しちゃってテレるな。
「明日、休んでも大丈夫だから、今夜は…。」
ちょっと、違うって。でも、こうなったら止まらないよね。私も数年前までそっち側だったから、ワカルよ。でも、ホントゴメン。
「いえ、違うの!」
「あ、ゴメン。オレばっか盛り上がってたな。」
一旦、落ち着こう。でも、ちゃんと謝って、話聞いてくれる旦那さま。好き!
「うん。でね。これからは、ちょっと激しいの出来ないかな…。」
「え?なに?」
なんか直接言うの恥ずいんだよな。私が、本当の女じゃないから?
「だから、お腹にあまり負担かかるとダメだろうし。」
「ん、どういう事?」
「あ、だからミリアちゃんからも診てもらってね。良かったって。」
どんな顔しているのか気になるけど、恥ずかしいやら嬉しいやらで、顔が上げれない。
赤ちゃん出来たよって、伝えればいいだけなのにね…。やる事やってるんだから、当然考えてくれてるだろうし。
「ミリアさ、聖女様が…。それって?」
声が弾んでる?喜んでくれそう?
良かった。
「うん。その、家族がね。…増えるの。」
お腹をさすりながら言う。
「えっ、ホントに…。」
見上げると、言葉を失って涙ぐむ愛しの旦那様。
手を取って、見つめ合い、ギュッと抱きしめてくれた。
軽くキスをして、
「良かった。本当に…。」
ピータの声が、心地良い。
「うん。これからもヨロシクね。パパ。」
「おお。」
その日は、手を繋いで、そのまま寝ました。
ミリアちゃんからは、激しいのは控えてくださいね。って言われてたから、ユックリなのは大丈夫なのかな?
まぁ、私としては、その、なくってもね。一緒に居てくれるだけで、良いんだよ。
でも、ピータは一度やる気になったのに、よく我慢できたな。やっぱ尊敬するよ。愛してるよ。
次の日。
「そうだ。ちょっと行ってくる。」
と言って数時間家を開けた彼は夕方に帰ってきた。
ま、あんまどこ行っていたか聞くのヤボだよな。
ヤダけど、昨日我慢させちゃったし、私のカラダ気遣ってだし…。
彼は、ただいま言った後。
「えっと、母さんとバラックさん。あとエリス様とエイタさんに知らせてきた。皆めっちゃ喜んでいたよ。」
息を切らせながら言う。
えっ。色々とツッコミどころが。
王都からバラックの新しい国と修道院まで数百キロあるよ。歩いて20日位かかるんだよ。
往復数時間…。あなた音速で走れるの?
それに、エイタって言った?




