新しい生活
ローザとしての日々に戻った。
エイタは、その後王都には戻らず、放浪の旅に出た。
時折手紙が来て、元気にやっているみたいだ。
彼もまだ10代、旅は息子を成長させるはずだ。
家庭に収まるには早すぎたのかもしれない?エリスとは上手くやってほしかったが、これも仕方ないか。
あの討伐が終わったってシドちゃんがいなくなった後、このまま旅に出ると言ったエイタと、少し話した。
シドちゃんとの事は、私達からも不可抗力だったって説明すればエリスは、許してくれると思うし、息子のリュウだっているんだからって、私とピータで説得しようとしたんだけど。
「会わせる顔がないよ。」
と言ったエイタ。
まぁ、最初は土下座だろうから、顔合わせなくても良いと思うのだけどね。
エイタが、王都の暮らしを窮屈に感じてストレス溜めていたの知ってたし、誘惑の状態にされていたとは言いものの、そのストレスがシドちゃんを、襲った原因でもあるかもだし。
「しょうがないか…。元気でね。手紙書いてね。」
「ああ、ローザ。ピータも元気で。」
いつまでたっても、息子にローザって呼ばれると、違和感を感じる。
ピータは、エイタに憧れを持っている事は、私にもわかっていた。どうしても止めたかったと言っていた。
「エイタさん。また会えますよね。あ、でも、どこに居ても、会いに行きますけどね。」
そっか…、ま、どう頑張っても、ウチの優秀な旦那様の情報網の外には、行けんよね。
それからは、平穏で幸福な生活が続いた。
エイタは、元気にしているみたいだ。手紙もたまにくれるし、各地で世直ししてる噂をよく聞く。
エリスも最初エイタが帰ってこないと聞いた時は、辛そうだったけどね。でもリュウがいて、子育て忙しくて。まぁ、なんとかって感じ。
それでエイタはといえば、勇者の印籠なんて作って
「この紋所が目に入らぬか〜。」
なんてやっているとも聞く。
貴族の不正を暴いたり、魔物退治したり。
まぁ、悪者の皆さんは、印籠って言っても、ポカンって感じだろうから、その後、主に物理で懲らしめているそうだが。
あと、彼の浮き名が…。
街ごとに、勇者の女みたいなのがいるそうだ。
シドちゃんとのことあって、タガが外れてしまったのだろうか。
それとも、エリスに抑圧されていた反動か…。
実際にはそこまで遊んでいなかったそうだが…。
噂と言うのは尾ひれがつくもの。彼は言っても俺の息子だからね。そんなにはお盛んじゃぁないはず。
でも、孫がいっぱいできちゃうかもね。
今のところ私が認知しているのは、リュウくんだけだけど。
認知って言っても、勝手に思っているだけ…。
エイタの話は、もう良いか。
「ローザ。それって。」
ピータに名前を呼ばれる。エイタに呼ばれると変に感じるが、ピータに呼ばれると、なんだか嬉しい。
もう一緒に暮らし始めて2年くらいか…。
未だ、新鮮な気持ちでラブラブですっ!
「うん。新しい学園の制服。どう?」
鏡に映った自分を見る。人妻とは思えない、美少女留学生が映っている。
金髪で碧眼、色白。顔も整っていて、スラッとした体型で綺麗系美人。それが聖女ローザ。
「カワイイでしょ。」
「うん。ローザが着ても似合うね。」
まぁ、この身体まだ10代だし、そりゃあ似合うでしょ。この世界に来て5年くらいだから、多分まだ高校生の年だろうし。
出来上がった制服は、エイタの強い要望でセーラー服のような形の制服になった。
せっかく女のコになったんだから、着てみたかったのよ。
もちろん、防御力とか魔法耐性とかもバッチリな逸品である。学生さんには、無償で支給されるんだ。
コレ、エイタならトクベツな感情いだいて、私に対してでもムラムラしたかもしれないけど、こちらには今のところ、そんな文化無いからね。
だからピータとはこのあと普通?に脱いで抱き合いましたよ。
…。
上になったり、下になったりは、以前の性別でもあったと言うか、その、立場の違いっていうか、感じ方は全然違ってて、受け身になってるけど、まぁ、良いんだけど。こう、抱き合うっていう感じ?なんか、良いよね。
でも、後ろからってのは、以前だとできない体勢で、視界に相手がいなくて、何回やっても慣れないなぁ。
なんか、その、ね、向かい合って、確かめ合いたいのですよ。
とは言え、、恥ずかしいやら、気持ちいいやらで、また、主導権を握られている事もあり、その体勢になっちゃうこともしばしばで…。
…。良いから、良いんだけどね!
っまぁ、幸せってコトで…。




