旅って楽しい
魔物が湧いているという森は、王都から50kmくらい離れた場所。
50kmも離れていると、魔物が湧いていると言っても、王都からは特に感じることができない。
交易ルートとして、森の中を通るルートが遮断されている為、その内影響が出てくるかもしれない。
王都にとっての影響は、今のところその程度。
ただ、近いちゃあ近い。歩くと2日くらいかしら。
魔物が、王都へ向かい出したら1日かからずに着く恐れがあり、防御体制が間に合わない。
と言うわけで、王国としては対応する必要があったのだが、派遣した兵は敗走、2度目は精鋭を派遣したが駄目だった。
劣等種とは言え、ドラゴンがいた為だ。
王国は馬車を用意してくれた。
勇者とアタシ、元聖女と忍者の4人で2人ずつ向かい合って座る。
ローザさんとピータは、ピッタリくっついて座ってる。
アタシとダーリンの間には、僅かなスキマ。でもどんな谷より深いスキマがある。
そんなに拒絶しなくてもねぇ。良いじゃんっね!
「もう、ピータまたそういう事言う。」
「イヤイヤ。君が悪いんだよ。」
ローザさんとピータがずっと喋ってる。
イチャイチャしてんじゃねぇ。とか思うけど、アタシとダーリンはあまり話さずに、二人のやり取りを微笑みながら見てる。
前のばカップルは、アタシたちの視線には気付かず、話し続けてた。
…。なんか良いなぁ。アタシもダーリンとそんなふうになりたいんだけど。。。
「ドラゴンの劣等種と、あとは植物系の魔物が多いみたいだな。」
「うん。ドラゴンの劣等種ってのは、勇者さんがいるから問題ないね。」
ピータとローザが、私達にも話しかける。
自然と馬車での会話は、討伐の作戦会議となる。
「ああ、任せてくれ。久しぶりに腕が鳴る。」
「…。私も、頑張ります。」
「シドちゃんの実力は、エリスさんから聞いているけど、討伐は初めてなんだろうし、無理しないで大丈夫よ。」
ローザが、優しく話しかけてくれる。
となりのダーリンが口を開いた。
「そうだな。後方で援護してくれたら良いよ。イザとなったら俺が守るし。」
…。っ。ダーリンがアタシを守ってくれうの?
ウレシイ、ウレシイわ。アタシ頑張る。
ま、イザとなったら、魔族のシャドに戻ればいいだけなんだけど。
「そうですよね。シドさんに何かあったら、エリス様が怒る…。」
ピータは、エリスを様つけて呼ぶ。なんかメチャ怖いんだって。
「ん。そんな事は、あ、でも、あるかもな。アイツ、シドちゃん可愛がってるから。」
ダーリンに見つめられる。アタシ見ながら他の女の事考えないでよ。って、なんてね。
勇者パーティーが、勇者含め3人いる。まぁ問題ないだろうって事で、他の雑談なんかで馬車の旅は続く。
ダーリンの昔話とか、ローザとピータの馴れ初めなんか聞いた。
エリスのパンツが見たいから、頑張ったって…。
ダーリンって、もしかして、いや、もしかしなくても、ちょっとおバカさんだったわ。
でも、そんなダーリンも大好きよ。
エリスさんがいなくて、心なしか元気なダーリン。
ピータとローザは、いつも通りイチャイチャしてるけど。
アタシは、隣にダーリンがずっといて、なんだか気持ちがフワフワしてる。
時折見せるダーリンの気遣いがウレシイ。
揺れたとき、庇ってくれたりした。
ダーリンからは、触らずにいたわるように。
もっとガチッと抱き寄せてくれて良いんだからね。
こっちから触れるのは仕方ないよね!
ダーリンの大きな体に掴まらせてもらって思う。
なんか、旅って楽しいわ。




