表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/43

私の情報源。


2年間の修道女生活。


色々あったので、書きたいんだけど長くなっちゃうから端折るね。

ミリアちゃんとの触れ合いなんか描いても、書ききれないんだけど。


一緒に修行を乗り越えて、本当の姉妹みたいになれた気がするよ。

ここ詳しくやると物語が進められない。もどかしい限りである。



ローザちゃんは、14才になり、立派なレディになろうとしている。

孤児院の食事では、貧相なままだったかもしれないが、修道院の食事は栄養のバランスが取れており、ローザちゃんの身体の成長も著しい。


鏡を見る。カワイイ女の子が写っている。

…。私か。

回ってみる。スタイルも良いな。朝夕運動するようになって、引き締まってて中々良い感じである。それでいて、女性らしく柔らかそうな感じもある。


笑ってみる。うん、笑顔も良し。


少し視線を下にする。胸は…。まずまず。

…。違う。それは、まぁ、良い。


鏡を見直す。耳にはイヤリングがあった。金髪に水色のイヤリングは、確かに良く似合っている。

これで、いつでもシャドと連絡が取れる。

念を送るとバチッと繋がった感じがする。丁度電話する感じ。


「こんにちは。」

「何かしら?」

オネエ言葉も姿が見えないと違和感も薄い。

「もうすぐ勇者が、聖女を迎えに来るはずです。」

「あら、そうなの。」

「近々彼らは、中央平原の砦の攻略に行くと思うのですが。」

「ええ。コチラでも把握していますわ。」

「そこで、持久戦が出来る相手をぶつけて欲しいんです。」

「ふーん。ヒーラーが必要な状態を作るって事ね?」

さすがは魔族の頭脳。察しが良い。


「えぇ。」

ヒーラーが必要な敵と当たり、聖女の噂を聞きつけてここに迎えに来ると言うストーリーだから。

「丁度良いのがいるわ。アンデットだから、聖属性魔力が必要になるし、良さそうね。」

聖女が必要な状況を、作ってくれるというわけだな。

「じゃあ、お願いします。」

「はいはーい。大丈夫よー。」


…。

あの時、シャドと交わした契約。


それは、情報の共有だった。私から人間側の情報、シャドからは魔王軍の情報を共有する。

勇者の情報を流して、その時に勇者が倒せるレベルの魔族を、派遣して勇者と戦わせる。


勇者は、その魔族たちと戦い成長する。シャドは、敵対する部族を、勇者と戦わせて消すことで、魔王軍の中での地位が上がる。

シャドの影夜見族を迫害していた部族中心に、勇者討伐軍を組ませるなどして、上手くやっているようだ。


どうやって、コントロールしてるのかなって思ったんだけど。

「魔族ってのはね。単純でプライド高くて見栄っ張りなの。少し焚き付けたら、直ぐに飛んで行くもの!」

なんて策士のシャドさんが言ってた。


DQやFFなんかのゲームでは、何故か弱い敵から戦い、主人公が強くなるにつれて、強い敵が現れるけど…。


「ゆうパン」は私が作った小説だけど、戦う敵のレベル調整というか、裏では、ローザちゃんとシャドさんがこんな苦労してたなんてね。



私の情報源は、もちろん「ゆうパン」の記憶にある知識と…。もう一つある。それなんだけどね。まぁ、うん。


数日後。


「ローザ。」

窓から男の子の声がする。

「ピータ?入って良いよ。」

2階の窓からだが、造作もなくピータが入ってきた。

隠遁のスキルがあり、誰からも気付かれない。


「勇者パーティが、砦の攻略に失敗したそうだよ。無事だったみたいだけど。」

情報が速くて正確。できる男である。


「…。うん。わかった。で、彼らは?」

「こっちに向かっているみたい。」

「OK、良かった。ありがとう。」


そっとピータの顔に指で触れて、聖属性魔力を少し流し込む。疲れが取れるはず。

気持ち良さそうにしているピータを見ると、まるでワンコのように可愛く思ってしまう。頭をナデナデしてあげたくもなる。


だって、情報収集だけじゃなく、聖女の噂のバラマキとか、イロイロやってくれてるもの。


「じゃあな。…うん。回復魔法で元気出たよ。勇者が近づいてきたら、また来るよ。」

この1年半で背も伸び、カッコよくなってる。頭ナデナデとかさせてくれんかな。


逆に、貴方が私をナデナデしてくれても良いんだけどね。


ところで病気だった彼の母親は、私の魔法で回復した。肺炎をこじらせた感じだったので、肺を部位だけ回復させたら上手くいった。あの時のピータの冒険者としての収入もあって、母親の道具屋さんも再開でき、どうにか生活出来るようになった。


それ以来、ピータは恩に思ってか、私のお願いを聞いてくれるようになった。情報収集なんかは、盗賊職として天性の才があったので、メチャ優秀である。


ピータの情報と私の「ゆうパン」の記憶で、かなり正確な現状把握が出来る。


もうすぐ息子(エイタ)が、勇者エーターとしてやってくる。

俺は、こんな姿だけど、会えるの楽しみだな。どんな男になっているだろうか?


ピータが、音もなく出ていった。


…。一人になり、寂しさを感じた。

勇者が近づいてきたら、また来るって言ってたかな。

また、すぐ会えるか…。


胸の奥に少し暖かいものを感じた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ