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魔王軍の幹部


私は、この少し気持ちの悪い魔族の事を知っている。

当たり前だよ。「ゆうパン」で私が作ったキャラだからね。


ずいぶんと昔に作った話なので、忘れている部分も多いけど、このキャラは憶えている。結構好きだったのよ。


魔王軍の幹部、シャド。一応男性?


少し前の魔王軍と王国軍との戦争で、人間側の最大戦力である戦士バラックに負傷を負わせた。更に魔王軍司令を失って、指揮が落ちた魔王軍を纏め勝利に導き、大陸中央平原を魔族領とすることに成功していた。


彼?彼女?は、この功で魔王軍の幹部に出世していた。


「シャド…。」

名前は、シャドという。

あ、まずい、つい呟いてしまった。


性格は、卑怯だけど純粋で、好きなキャラだったので嬉しくて…?。


「なんで、アタシの名前を知っているのかしら?」

目の前、すぐ前にシャドがいる。近づいていること、動いた事すら分からなかった。手を伸ばせば、(ローザ)を殺せる位置にいる。


「あ、うぅ…。」

怖い。推しキャラに会って、喜んでいる場合ではなかった。圧倒的な強者と弱者の差が、そこにはあった。

戦力差はまるで象と蟻だな。大げさじゃなく…。


「ローザっ!」

シャドにピータが向おうとするが、シャドがひと睨みするとピータは動けなくなる。

ピータだったら、象とネズミ位かな。

ま、勝ち目がないのに変わりはない。


…ピータのお陰でシャドの目線が逸れて、少し考える余裕?ができた。シャドなら、俺が考えたキャラのシャドなら…。


私たちは、生き延びられるかもしれない。


あ、ピータが倒れそう。気を失っているの?


無理もないか、今まで回復魔法を掛けられて、無理やり戦ってきたんだ。精神的には限界が来ている所に、このシャドの邪気に当てられたら…。


ピータに近づき、倒れる身体を支えて横たえる。

ローザの身体には重く感じるが、軽い。こんな軽い身体で、今まで頑張ってくれていた。

うん。私達は生き延びなければ、ピータを母親の元へ帰すんだよ。


「あ、あの。シャドさん。」

シャドが目線をコチラに向ける。うぅ、怖えよ。

「あら、カワイイお嬢さん。質問には答えるものよ。」


「私、貴方のこと知ってる!」

敢えて問には答えず、少し強めの口調で言う。


「だからなんでかって、聞いているのよ?」

目つきが、キツイ。だから怖いって。


「私は、聖女になる予定の身。この世界の歴史を知っているから。」

「は?聖女だからって知っているってのは、おかしいわ。」

ごもっとも。でもここは、無視して切り札を出そう。

「私達が、勇者とパーティを組んで今の魔王を斃してあげる。数年後になるけど。」


…。会話としては、繋がらない?でもこれで良い。

明らかに、シャドの表情が変わった。


シャドには、魔王になって、自分部族の地位を向上させる目的がある。他の魔族たちに、虐げられ続けたシャドの部族。影夜見族を。


幹部にはなったが、認められたのはシャド個人で、部族の立場はまだ弱いまま。他の幹部からは、相変わらず軽く見られて、また部族への迫害も止んでない。


シャドは、力を蓄え自分が魔王になるしか無いと、この頃考えるようになったんだ。


その最大の障壁が、勇者でも賢者でもなく、歴代最強と言われる現魔王だった。…はず。


数年後と言うのは、影夜見族の力を蓄える期間としても都合が良い。


「アタシが、魔王様を斃してほしいとでも?何を言ってるのかしら。」


否定はするが、こちらに向けてくる邪気が少し薄れた感じがする。ここで、コイツにしか解らない情報を出そう。

「ガフク将軍は、何故、戦死したのでしょうね。」

独り言のように呟いた。


魔王軍司令だったガフク将軍。彼を討ったのは、バラックだと言われているが、シャドが何かやっていたのは事実だ。阻害魔法かけたり、何ならトドメを刺したという見方もある。


曖昧だなぁって?

確かに俺が、考えたんだけど、瑛太が召喚される前のエピソードだから、詳細まで詰めてないんだよ。


とにかくだ。

ガフク将軍とバラックの一騎打ちで、ガフク将軍は討ち死に。拮抗した勝負で疲弊していたバラックは、シャドに、呪いの傷を付けられていた。


あのバラックの片目と、左腕のキズである。


回りの雰囲気が一変する。シャドが得意な空間魔法だ。

「ふははっ。っと。。違う。おーほほほっ。そこまで解っているなら、まぁ、本物のようね。カワイイお嬢さん。」

「ローザです。」

「ローザちゃんね。シャドよ。まぁ、本当の名前を明かさないのは流石ね。」


本当の名前?瑛一郎の事?

まぁ、良いや。本題に入ろう。


私は、ピータを生かす為に、エイタを勇者として魔王を斃し無事に元の世界に帰すために…。


いや。自分の為か。


死にたくないって思いが強い。まだ中学生のエイタを残して死ねるかってんだ。


最厄の悪魔と手を組むことにした。


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