異世界召喚
異世界転生。異世界転移。
よくわからないが、子持ちのおじさんだった私は、異世界で神に祈りを捧げる聖女になってしまいました。
佐藤 瑛一郎。俺の本当の名前。
1人息子がいて、名前は瑛太。中学2年生。
年頃の男の子だが、まぁ、仲良くやっている。
「父さん。これやってみて良い?」
昔のRPGをやりたいらしい。異世界に召喚されて、勇者として魔王と戦うやつだ。
「良いけど。ハードが無いんじゃないかなぁ。」
ファミコンだぜ。もう動かんよ。
「それがね。これでできるらしい。」
瑛太が、辞書くらいの大きさのマシンを出してきた。
「記憶は、SDカード使うんだ?」
今時珍しい。
最近では、SDのスロットの無いPCなんかも多い。
「俺が、昔使ってたのあるよ。」
昔のデータが入ったままだが、何に使ったか憶えてないし、多分いらない。
「一旦SD使えるか確認だな、フォーマットいるかな。」
瑛太はそんな事を言いながら、怪しげなお店で買ったというマシンにSDを差して、モニターに繋いで、電源をつけると。。。
一瞬ピカッと光ったと思ったら、息子の姿は消えて居なくなっていた。
「瑛太?あれ、トイレ?じゃないよな?」
画面を見ると、モニターになにか映っている。
あれ、瑛太がいる?
見ていると、物語がどんどん進んでいき、アイツ、勇者になってやがる。なんかすげぇな。
よくわからないが、このマシンでゲームが起動しているようだ。このゲームのせいだろうか?
うーん。謎だな?
ふと、ゲーム機から、人のようなものが出てきた。
ホログラム?って言うんだっけな。そんな感じ。
キレイな人だな。女神様って感じだ。
「ここは?あ、エータさんのいた世界…。」
「あ、あの…。」
「すみません。私、アイリスと申します。向こうでは女神をやっています。」
女神とな…。
普通なら、頭のおかしい娘というところだが、出てき方が普通じゃないし…。
「あ、あの、アイリス?さん。あ、そのエータは?」
とにかく瑛太の事が大事だ。この女神さんとは、なにか関係あるのだろう?
「はい。驚かれるのも無理無いと思います。エータさんは、賢者エリスさんによって異世界へ召喚されました。」
「異世界?召喚?」
えっ。なにそれ。本当にあるんだ。
異世界といえば、巷に溢れる異世界転生モノ。ニートが異世界で本気だすやつとか、スライムなって食いまくるやつとか、田舎貴族になるやつとか、獣人ハーレム作るやつとか。
俺、かなり詳しいと思う。
いろいろと読んできたからね。自分で書いてもいた。
そう言えば、あのSDに書いた小説のデータ保存していたんだった。まぁ、今はどうでもいいか…。
「はい。エータさんには、魔王討伐に挑戦していただきます。」
「危険は無いのですか?」
「魔王討伐は危険を伴いますが、エータさんは勇者です。きっと大丈夫。」
きっと?ってなんだよ?親としては、万が一があっては困るんだが…。
瑛太の母に顔向けできんよ。墓参りの時に、危険な場所に行っちゃった。ハハッ。人助けみたいだし、良いよね?って報告して。
ハイ、そうですか。
とはならんだろ。
ただ、異世界かぁ..。
息子には、成人するまでにいろんな経験をさせてあげたいと思ってた。
母親がいないことで、習い事に通わせる事とか、お友達作りとか、ママ友なんか作れないから、上手くいかないことも多々あった。
…だが、危険と聞けば心配だ。
「なら、お父様も転生なさいますか?」
っえ。できるの?
夢にまで見た俺チートってヤツ。
俺tueeeeっ。やりたいな。
ま、最悪スライムとかでも良いよ。
勇者の回りでピーピー言うだけのやつかもしれんけど…。
「はい。私では、その体を転送するのは無理なのですが、意識や魂であればできます。では、勇者を支える重要人物が良いですよね。」
あ、じゃあそれで、瑛太を見守りつつ、成長させよう。良いかもしれん。
まぁ、この体ごと行ければ良いのだが、女神様の世界への干渉には、少し制限があるそうだ。
でも、ガタの来ているおじさんの体では、役に立たんかもしれんので。良しとしよう。
「あ、ちょうど聖女になるはずの娘が、、、。」
えっ、聖女?
「ちょ」
「聖属性の魔力に耐えられなかったのですね。異世界人の魂で補完すれば…。」
ちょっと待ってと言う言葉を遮られ、意識が薄れていく…。
「あ、私、神ですので、必要以上に干渉出来なくて、見守るくらいしか出来ませんが、聖女であれば精一杯祝福かけれますので、ご安心を。」
安心?っって、できるかぁー。
うぅ。苦しい…。
意識が少しずつはっきりとしてきて、目が覚める。
「ローザちゃん。目が覚めた?良かった。」
キレイな女性が俺を、心配そうに見つめている。あ、お母さん?
ぐっ。頭が痛い。
物凄い頭痛とともに、俺…。いや私は、ローザとして12年間過ごしてきた記憶と瑛一郎として40年以上過ごしてきた記憶の両方を持った、色白金髪の美少女となっている事に気付いたのだった。
完結までの下書きまではありますので、1日1話以上目指して投稿しようと思います。