眠れず、ラジオを聴く夜
眠れず、ラジオを聴く夜。
知っているパーソナリティが、長いお喋りを一旦やめて、知らない歌手の知らない曲名を言い残して、宵闇に消える。
胸の中のわだかまりと、ちっぽけな自分と、知らない歌を歌う、知らない人。
想定外の空間にぽつんと、背中を丸めて座る僕。
遠くで歌う彼女の声は、耳元で凛と素朴に鳴って。
言葉は浮かんで、ゆらゆら揺れて、僕の心も一緒に揺れて。
顎の先まで涙が流れる。
コルクの栓が抜けた脳。
誰も味方じゃないと思って。
強くいなきゃと肩肘張って。
それでも弱くて脆くて無理で。
泣くのが怖くて黙ってキレて。
考えるフリをしていた脳が、やっと一息ついたよう。
誰もそばにいない空間でひとり、そっと心を震わせる。
誰にもそばにいてもらえない人にも、ラジオは平等に話しかける。
宙に浮かんだ言葉を噛んで、パン食い競争、一位は誰だ。
感動を食って生きている。
心を震わせ生きている。
どんなに足が遅くても、転んで怪我して泣いてても。
広い校庭、はちまき巻いて、僕ひとりだから恥ずかしくない。
僕ひとりだから、僕が一位。