#3「領主の家に招待された」
私は今、ブラモスの近郊にあるギテヤの森に来ている。え?ブラモスってどこだって?ブラモスは私が暮らすあの町のことだ。
何でギテヤの森に来ているのかというと、どうやら最近ギテヤの森の中においてゴブリンに通行人が襲われるといった事件が多発しているので、ゴブリンを討伐してほしいというクエストを受けたからだ。
・・・まあ、正直面倒だ。だけどこれもスローライフを過ごすため。頑張らないと。
ギテヤの森の中はだいぶ薄暗い。森の中にある唯一の道は獣道みたいになっている。
しばらく森の中を歩いていると、私のスキル「敵対探知」が反応した。このスキルは、名前の通り私に対して敵対意識を持っている生き物を探知することができる。
私の背後を狙い、ゴブリン五体が一気に襲ってきた。私は即座に振り返り、手にナイフを持って五体のゴブリンを一気に刺す。剣ではないが、スキル「剣士」のおかげで攻撃がよく当たる。ゴブリンたちが地面に倒れる。
「はい、確かに。ゴブリンの討伐依頼は成功です。お疲れ様でした。こちら、報酬の銀貨5枚です。」
ギルドに帰り、受付嬢に成功報告をする。・・・そういえば、昨夜送られてきた招待状。バルバーニー家に来てね的なことが書いてあったが、あれはどういうことなんだろう。受付嬢に聞いてみるか。
「あの、ちょっといい?」
「?はい」
「昨日の夜、こんなものが私の元に届いたんだけど・・・」
受付嬢に昨日受け取った招待状を手渡す。
「ふむふむ・・・、って、これ領主様のお屋敷への招待状じゃないですか!!!」
「りょ、領主・・・様・・・?」
「領主様ですよ!このブラモスを収めてるあの領主様です!!」
「ええええ!?」
どうやら、この招待状に書いてあった「バルバーニー家」というのは、このブラモスの地を治めている領主の家系らしい。
いやいや、何で私に領主から招待状が届くわけ?
領主からの招待状・・・、これは断るわけにはいかないよなあ。仕方ない。領主の家に行くことにしよう。
***
「おい、誰だあんたは?ここはバニバール家のお屋敷だぞ!」
門番が私を止める。
「えっと、昨夜招待状を受け取りまして・・・」
門番に招待状を手渡す。
「・・・ああ、アオ様でしたか。大変失礼いたしました。どうぞお入りください。」
大きな門が開く。
門の中に入ると、そこには大きく立派なお屋敷と庭がある。お屋敷の前には噴水まである。さすがは領主の家だ。
「お待ちしておりました。アオ様。」
お屋敷の玄関の前に立っていた男性が話しかけてきた。服装的に、この屋敷の執事だろうか。
「私、ブラモスの領主であるカイル様の執事のエリックと申します。」
「では、こちらへ。」
大きな玄関の扉を開き、屋敷の中に入っていく。
長い廊下を執事が履いている革靴のコツコツといった足音だけが響いている。すごい雰囲気のあるお屋敷だ。
執事が一つの扉の前で立ち止まった。
「こちらが領主・カイル様がいらっしゃるお部屋です。」
執事がコンコンと扉をノックすると、中から「どうぞ」の声が聞こえた。
「失礼します。」
私もつられて「失礼します」と小さく呟く。
部屋の中に入ると、目の前には顔のいい男性がいた。そしてその隣に立っていたのは・・・、ミシェル?
「アオ殿、よく来てくれた。アオ殿を招待したのは他でもない。俺の一人娘であるミシェルが強盗に襲われた時に助けてくれた、その恩を返したくてこの度招待させていただいた。まずは、俺の娘を助けてくれて本当にありがとう。」
カイルは深々と礼をする。
っていうか、あの時助けたミシェルって、領主の娘だったの!?
「いやいや、当たり前のことをしただけですから。頭をあげてください!」
流石にただの冒険者である私に対して領主が頭を下げているのはおかしすぎる。
「お礼と言っては何だが、これをあげよう。エリック、あれを持ってこい。」
執事が一旦部屋の外に出て、そして少し経った後に大きく膨らんだ袋を持ってきた。
「この中には金貨20枚が入っている。」
き、金貨20枚!?!?金貨1枚が日本円で大体2万円ぐらいだから・・・、40万円も!?
「いやいやいや、こんな大金受け取れませんよ!」
「俺の大切な娘を助けてくれたお礼だ。遠慮せず受け取ってほしい。」
「は、はい・・・。ありがとうございます。」
結局、金貨20枚を受け取ってしまった。でも、このお金と元から持っていたお金を足すと・・・、一軒家は買えそうだ。
そう思いながら、私は帰路へついた。
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