プロローグ
「─── この文章から、作者のどういった心情が伺えるか。誰かに発表してもらおうかな~。んーじゃあ桐野。」
「・・・Zzz」
「桐野!!!!」
「・・・あっ、はい!───」
なんでこうも高校の授業はつまらないのだろう。これがラノベの解説だったりしたら授業中に居眠りしなくなるのかな。と、どうでもいいことを考えていたら、あっという間に授業が終わり、終礼の時間になってしまった。
何もかもが面倒だ。家に帰るのも、学校に来るのも、何もかも。そう、私は極度の面倒くさがり屋なのだ。
─── ようやく終礼が終わった。さて、帰ってアニメでもみようかな。
そう思いつつ、家への帰り道を歩く。
歩いていると、向かいの公園から道路を横切ってボールが飛んできた。そのあとを小さな男の子が走って追いかけているのが見えた。
男の子のすぐ近くに車が走っている。しかも、その運転手はスマートフォンを操作しながら運転しているように見える。男の子が横切っているのにもかかわらず、まったく減速しようとしない。
「危ない!!」
そう思った時には、反射的に体が動いていた。走っている男の子に向かって走り、男の子を押し出す。
その瞬間、私の体に大きな衝撃が走った。その車にぶつかってしまったのだ。
体中が痛い。徐々に意識が薄れていく。泣きわめく男の子の声が聞こえる。よかった。男の子は無事だったんだ・・・。
周囲の人がざわめき、時折悲鳴が聞こえる。きっと、今の私・・・、だいぶひどい状態なんだろうな・・・。
そう思いながら、私の意識は途切れた。
─── 次に目を覚ました時には、暗闇の中にいた。私、死んじゃったのかな。
「目が覚めましたか?」
「・・・あなたは誰?」
「私は神様です。」
「ええええ、神様!?」
「まあまあ、そんなに驚くこともないでしょう。」
「いやいや、驚きますよ!」
「さて、いきなりなんですが、あなた、桐野青さんは残念ながら死にました。」
「・・・まあ、そうなんだろうね。」
「あなたは、車にひかれそうになっていた男の子を、自らの命を顧みずに助けました。」
「・・・はい。」
「あなたはこの後、今まで暮らしていた世界とは違う世界、いわゆる異世界へ行くことになります。あなたのその勇敢な行動を称え、私から何かあなたに対しご褒美を与えようと思います。何か異世界でほしいものを一つだけ言ってください。」
「欲しいものか~。まあ、異世界ではスローライフを満喫したいから、誰にもその生活を邪魔できなくする力・・・みたいのが欲しいかな。」
「『誰にもスローライフを邪魔できなくする力』ですか・・・、はい、了解しました!それでは、その力をあなたに授けましょう。」
「さあ、そろそろ時間です。それでは、異世界に行ってらっしゃい!」
ラノベで見た展開だ・・・、と感心してしまった。本当は驚かなければならないんだろうけど。
とにもかくにも、私は異世界生活をこれから送れる!退屈な高校生ライフともおさらばだ!
異世界に行ったら、まず一軒家を買って、調理道具も買って、あ、畑あったら自給自足できるかもな、えっとそれから・・・。やばい。想像が止まらない。
さて、これからは第二の人生、全力でのんびりしよう!
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