#12「国王?の正体」
アオとエミリーは、国王・アーサーがいる王城内の謁見の間に着き、アーサー王に対し直接、感情蜂による王都の住民の被害を最小限に抑えるため、対策を練るように訴えたが、アーサー王は「そんなこと知らん。」と、国王にしてはあまりに無責任な発言を行った。
「エミリー。お前はこの部屋から出ていけ。アオ、お前については少し話がある。ここに残れ。」
「は、はい。」
エミリーは困惑しながらも、私を置いて謁見の間から出て行き、部屋には私とアーサー王の二人きりとなった。
「・・・アオ。」
「なんでしょうか。」
私は、アーサー王の敵対探知の反応が徐々に大きくなっていくのを感じた。
「おいおい、そこまで警戒するな。」
私の様子がおかしかったのだろうか。アーサー王は、私に向かってそう言った。
「さて、アオ。お前はとんでもない力の持ち主らしいな。」
「・・・まあ、そうですが。」
「では、なぜ余に助けを求める?そんな力の持ち主が、なぜ人の手を借りようとする?お主ですべてを終わらせればいいのではないか。」
あまりに無責任だ。確かに私は、普通の人が持っていないような力を不本意ながらも持っている。だが、それを理由として「国王が何もしない」というのは、あまりに無責任な話だ。
「まあ、”俺”はそれをも予想して、お前をここに呼んだのだがな。」
いきなりアーサー王の口調が変わった。
「・・・あなたは国王様ではないですね?誰ですか?」
アーサー王(?)からは、とても強い敵対探知の反応が出ている。この時、私は、ブラモスを襲撃した魔族・ベンと、ギテヤの森で対峙した時のことを思い出した。
確かあの時も、大きな敵対探知の反応が私に向かって向かってきてたんだっけ。
今の状況は、”あの時”と同じ雰囲気がしている。
「ふふふ。ようやく気づいたか。アオよ。」
そう言った瞬間、アーサー王(?)の体が黒い霧に包まれた。
…..
….
…
しばらくすると、黒い霧が晴れ、中からはアーサー王とは違う男の姿が見えた。
「・・・あなたは?」
「俺は、第五魔族のアールーだ。」
「魔族・・・。」
魔族。それは、この世界に存在するすべての魔物を統べる「魔王」の血筋の魔物のことだ。通常の魔物に比べ、ステータスが異常に高い。
「魔族がなんで国王の姿になっていたんだ?」
「さぁね。まあ、お前は俺にとって邪魔な存在だ。消えてもらおう。」
その瞬間、アールーが手を上に向け、黒い霧のようなものを放出した。
「お前はここで消えてもらう。この霧は、人を即座に死に至らせる、有害な毒だ。」
黒い霧が、謁見の間の中に広がる。
私は、この霧を浴びた。そして、静かに目を閉じた ───。
「よし、このぐらい浴びせさせれば十分だろう。」
アールーは、しばらく黒い毒霧を出したあと、霧の噴出を止めた。
黒い霧が晴れると、そこにはアオが平然と立っていた。
「なに?これだけの毒霧を浴びて人間が生きているだと?」
そう、私は、スキル「毒耐性」を持っている。毒霧なんかに身体は脅かされたりはしない。
「私にはこの攻撃は効かないよ。さて、あなたの目的は何?本物の国王はどこ?」
「ふふふ。これは、俺が思っていた何十倍も手間取る相手のようだな。いいだろう。答えてやる。国王はこの王城の地下にある牢屋にいる。俺は、この国を、この世界を”あの方”のために支配することを目的としている。そのための第一歩として、感情蜂を使用して、まずは王都の人間を支配してやったのだ。」
「”あの方”というのは魔王のこと?」
「・・・さあな。」
”あの方”・・・。ブラモス襲撃の時、ベンは「魔王様のためにブラモスを火の海にする」みたいなことを言っていた。”あの方”というのは魔王とは異なる人物なのだろうか。
「まあ、要するにあなたは私の敵ということね。ここで終わらせる。」
私は、アールーに一歩ずつ近づいていく。
「おっと、それ以上近づいたらお前の大切な人を傷つけるぞ。」
「大切な人?」
「こい。」
アールーの命令に従うかのように、謁見の間の横隅からある少女が現れた。そう、エリカである。
「・・・エリカ?」
エリカは目がうつろになっており、無表情な状態だ。なぜか、手にはナイフを持っている。
「この娘、町の道路上で倒れてたんだ。感情蜂に刺されたんだろうなぁ。実は感情蜂に刺された人間は、その感情蜂の飼い主の言いなりを聞くようになるんだ。」
「・・・つまり?」
「お前が俺にそれ以上近づいたら、この娘に『死ね』と命ずる。そうすると、この娘は手に持っているナイフで自らを ───。」
なんて卑劣な魔族なんだ。今、魔族を攻撃しようとしたらエリカの命が危ない。
エリカには、「アールーの言いなりになれ」といった呪いのようなものがかけられていると考えていいだろう。ただ、その呪いを解く方法は何だろうか。ラノベなどでは、その呪いを掛けた者を倒すことにより解呪するといったことをよく見る。ただし、この世界において、本当にそんな感じで解呪できるのか、という確証がない。
まずは、その”呪い”を解く方法を探らなければならない。
「わかった。私はあなたにこれ以上近付かないよ。」
「ふん。」
「じゃあ、私は何をしたらいいの?」
「そこから動くな。そして、俺の言いなりになれ。」
そうアールーが言った瞬間、背後から虫の羽音が聞こえた。感情蜂だ。
羽音が聞こえ始めてから約三秒後、私の背中に針のようなものが刺さり、その針から毒が私の体内に注入され始めた ───。
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