#9「王都へ」
私とエリカが一緒に暮らし始めて、二週間が経った。今の所、特に大きなトラブルもなく、平穏に日常を過ごしている。
私は襲撃事件の影響もありCランク+バニバール家の認証を持っているため、以前の倍ぐらいの量のクエストに受けられるようになった。中にはクリアが難しいクエストも存在する。
ただ、私は本格的に冒険者になろうと思っているわけではない。私はただスローライフがしたい。ただそれだけだ。異世界といえばスローライフ!これは外せない。エリカと一緒にのんびりと日々を過ごしたい。
そう思っていた矢先、突然私の家の玄関がノックされる音がした。玄関を開けると、そこには冒険者ギルドの受付嬢がいた。
「突然すみません。私、冒険者ギルドの受付嬢をやっているニナといいます。」
いつもお世話になっているギルドの受付嬢だ。というか、ニナっていう名前だったのは初めて知った。
「えーっと、どうした?」
「実は、アオさんにぜひ受けていただきたいクエストがあるんです。一度、冒険者ギルドの方に来ていただけませんか?」
「まあ、聞くだけなら・・・」
私は頭の中に?マークを思い浮かべながら、冒険者ギルドへと向かった。
「どうぞ、こちらに。」
冒険者ギルドに着くと同時に、奥の部屋に通された。扉を開けると、そこには冒険者ギルドのギルマス、ライアンが座っていた。
「やあ、お久しぶりだね。アオくん。」
「・・・で、受けてもらいたいクエストとは?」
「おお、話が早いね。今から説明するよ───。」
ライアンによれば、どうやら近頃、このブラモスがある国「マドラン王国」の王都に何らかの異変が起きているようなのだ。その調査をしてほしいと言ったクエストだった。
「その"何らかの異変"とは?」
「残念ながら、私もその異変についての詳しいことは分かっていない。」
「なるほど・・・。」
「で、このクエスト受けてくれるかい?」
そういえば、この世界に来てからまだブラモス以外の町には行ったことがなかった。・・・まあ、王都の観光ついでに調査も一緒にしてしまうか。
「わかりました。受けます。」
「そう言ってくれると思ってた!ありがとう!王都行きの馬車はすでに用意してある。出発は明日の昼。それまでに準備を済ませておいてくれ!」
***
「わあ!すごく綺麗な景色!!」
私たちは今、王都行きの馬車に乗っている。エリカを留守番させようかと思ったが、流石に9歳の子供を家においたまま旅行に行くということは流石に気が引けたのでやめておいた。
エリカは馬車から見える外の景色に感動しているようだ。
辺りは一面の草原。風も穏やかだ。こんな場所でピクニックとかできたら楽しいだろうなあ。
─── 馬車に乗って半日が過ぎた。遠くの方に、大きな町が見える。そう、マドラン王国の王都「ザヌイ」だ。
どうやら馬車で行けるのは王都の目の前までだそうだ。王都の目の前で下車すると、私たちは歩いて王都の中へと歩いていった。
王都の中に入ると、そこには多く出店された出店、多くの通行人が見えた。私たちの住むブラモスとは全く異なる景色だ。だが、私はこの王都の風景をみてある違和感を感じていた。
そう、通行人が誰一人喋っていないのだ。誰一人、真顔で黙って喋っている。まるで操り人形かのように。
普通、たくさんの人が集まっている場所では誰かの喋り声が必ず聞こえるものだ。
「あのー、すみません。」
私はちょうど目の前に歩いていた男性に話を聞こうと声をかけた。だが、返事はなくそのまま歩いて去っていった。
「ねえ・・・、何だかここ怖い・・・。」
エリカがそう呟く。そう思う気持ちもわかる。正直私もこの場所は不気味に感じる。
ライアンが言っていた"何らかの異変"というのはこのことだろうか。
正直、今の所手掛かりの一つもないが、明日以降調査をしてみよう。
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