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第二話 異世界でも死にたい ~チャプター3~

「今日からクエストだね~。」

「はぁ…。ああ、そうだな。」


 武器の実技適性の翌日。

 今日から本格的にクエストに挑むのだが…


「どうしたの?もしかして緊張してる?」

「まぁ、それもあるんだけど…。」


 ゲームでいうと昨日まではチュートリアルでこれから本番というところ。そう言うと聞こえはいいが、今の心境はどちらかというと研修が終わっていよいよ実務に入る新入社員の気分だ。


「…はぁ、ツラい。」

「も~、まだ始まったばかりだよ。最初は簡単なクエストからやってこ?私もサポートするからさ、ね?」

「…わかった。」


 両手で頬を叩き、気を引き締める。


 ここはファンタジー世界だ。簡単なクエストがあるにしたって、どれも命が懸かっているに違いない筈だ。いい加減気持ちを切り替えていこう。


                   ***


「おはようございます。今日から本格的にクエストですね。」

「はい。お願いします。」


 そう意気込んではみるが…


「…なんか、簡単なヤツないですか?」


 勢いのわりに弱腰なリクエストである。


「ま、まぁ最初はそうですよね。でしたら、薬草採取はいかがでしょう?」


 お、いかにも序盤っぽいクエスト。


 内容はそのまま。近くの森まで行って薬草を一定量採ってくるというもの。

 駆け出しの冒険者の多くがまずこのクエストから始めていくようだ。

 リーナの方を伺い、彼女も首を縦に振る。


「わかりました。このクエスト受けます!」

「かしこまりました。では、こちらが採取用の袋に、薬草の群生地のマップ、それとこちらが薬草のサンプルになります。」


 採取用のアイテムと、瓶の中に入れられた薬草のサンプルが渡される。


「あ、それともう一つお知らせしておきたい事が…」

「え、はい。なんですか?」

「実は最近、ツノウサギが森によく出没するようになりまして…」

「ツノウサギ?」

「はい。その名の通り角が生えたウサギのモンスターで、薬草や他の植物を食い荒らしてしまうので害獣に指定されています。さらにとても凶暴で動きも素早く、薬草採取に行った方が何人も襲われています。」


 やっぱりモンスターが出るのか、そう簡単には行かないよな。


「それで、あくまで薬草採取がクエストのメインですが、他にツノウサギの駆除も追加でお願いしております。一匹倒すごとに報酬も別途お出しいたしますので、もし遭遇したら対処をおねがいします。」

「追加でモンスターの駆除か…、わかりました。」

「ありがとうございます。それではお気をつけて!」

「はい!行ってきます!」


 簡単な草採りのつもりでいたが、モンスターに襲われる可能性もこれで高まった。

 当の俺はまだゴブリン1匹としか戦ってないし、また血とか死体を見て卒倒してしまうかもしれない。

 けど、今はひとりじゃない。リーナという仲間がいるんだ。


(大丈夫、やれるはず。)


 こうして、俺の本格的な冒険がいよいよ始まる――――――

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