第六話 お宝発見!?ダンジョン探索 ~チャプター4~
スライムとの戦闘後、崩落に遭い俺たちは二組に分断されてしまった。
進行方向の反対側に出てしまった俺とシエルは、迂回してボスの元へ進むことになったが―――
「……。」
気まずい…。
シエルことシアリーゼ姫。クエストに出発する前も思っていたが、この御方は考えが全く読み取れなくて接し方がわからない。
ましてや魔王国のお姫様だ。自分の身の程をわきまえた対応をしなければと思うと気が気でない。幸い俺に対しては好意的な印象を持ってくれているようだが…。
また遠回りでボス部屋まで向かっているためか、今のところスライムとは遭遇していない。そのおかげで余計に間が持たない。
「どうかなさいましたか?さっきからずっと黙ってしまってますが…」
向こうもこの空気に耐えかねたのか、話しかけてきてくれた。
「あ、いや…その…。」
「もしかして、『この人何考えてるかわからなくて話しかけずら~い!』なんて思ったりしてます?」
「…心読む魔術とか使いました?」
「いえ。お顔にそう書いてありますよ。」
「よく言われるんですよね。『思考が全然読み取れない』とか、『接し方がよくわからない』とか。わたくしは思ったことは正直に話してるつもりですよ。」
「そうなの…ですか?」
「この際です、遠慮せずなんでも聞いてください。99%NGなしです。」
なんでもと言われると一部の人が騒ぎそうだ。
そして99%NGなしと言われると、のこり1%が気になってしまって…。
「…それじゃあ、スリーサイズは?…なんて」
「はい。上から――――です。」
答えるのか~い!
「でも、この程度ならわたくしは特に気にはしませんが、いくら場を和ませようとしてもセクハラは良くないですよ?」
「…スンマセン。」
そら、王女相手にそんなこと聞こうものなら首が飛んでもおかしくはない。
今度はちゃんと質問しよう。そう思ったのだが―――
「…あの、嫌じゃなかったのですか?その、人間と居たりするのって。」
「…なぜ、そんなことを?」
「だって、戦争…してたんですよね?憎いとか、そう思ったりしなかったんですか?」
戦争が終わり和平へと歩み始めた今となっては愚問であろう。俺自身も質問に困った末によりによってそんなことをなぜ聞いてしまったのか。
「…憎い、という感情はありませんでした。ただそれこそ、わたくしの方が人間たちとどう接していいかわからなかったのです。―――」
ギリアがアヴァルーに宣戦布告した頃、シアリーゼは戦火の届かない遠方へ疎開させられた。彼女には兄が4人いるがまだ幼かったシアリーゼだけが安全な場所へ送られたのだ。当時、怨霊に取り憑かれ狂気に囚われ始めた魔王に残されていた僅かな理性によるものだったのだろう。
そして聖騎士エドリックによって魔王が正気を取り戻し、戦争は終結。両国は和平を結ぶことになる。その際、シアリーゼは特使としてアヴァルーへと遣わされた。
だが和平会談の場に訪れたシアリーゼに向けられた、王族を除いた貴族や騎士からの視線は冷たいものであった。戦争によって家族や仲間を失った人たちは、そう簡単に和平を受け入れられるものではなかったのだろう。
シアリーゼ自身もそれは承知の上であり、彼女が出来る事はただ愛想よく笑みを浮かべるだけであった。
そんな空気の中、3度目の和平会談を記念してパーティが開かれる。
それでもシアリーゼは相変わらず疎外感に苛まれていたが、一人の少女によってその空気が打ち砕かれた。
「つまんないでしょ、こんなパーティ。貴族たちが理由つけて自分が楽しみたいだけなのよ。」
「あ、あの…?」
「アタシはノーラ。アタシとオトモダチになりましょ、シアリーゼ姫。」
「―――そうノーラさんが手を差し伸べてくれた時、少し肩の荷が下りた気がしたのです。」
普段の物腰の柔らかさから想像もできなかったけど、実はとても繊細なお方だったんだな。
「ユウヤさんの方はどうなのですか?わたくしの事、怖くはないですか?」
「えっと、それは…」
「まぁ、それこそ愚問でしたね。メルさんを仲間として受け入れるような方ですし。」
まだ何も言ってはいないけど、なにやら得心があったようだ。
「わたくしもユウヤさんについて色々とお伺いしたいところですが、それはまた今度に致しましょう。」
そう言ったシアリーゼが視線を向けた先に―――
「スライム!?」
俺たちが進む先を塞ぐかのように、数体のスライムが現れた。




