第五話 トラウマ克服!?ゴブリン退治 ~チャプター5~
「ぅぅああああっ!」
爪が伸びたままその腕を振り回し叫声をあげるメル。
その様子をただ見ているだけしか出来ないリーナ。
(メル……爪が……)
爪を伸ばしてしまったことによって、爪のデコレーションがボロボロになってしまっていた。
(あんなに一生懸命ネイルしていたのに…。)
―――昨日、宿屋でのこと。
「そのネイル、キレイだね。どうしたの?」
「うん、ここの近くで売ってたんだ。」
「そうなんだ。メル、最近すごくオシャレになったよね。ノーラ様もすっごく褒めてたよ!」
「そう…かなぁ。でも可愛かったり、キレイなのは私も好きだし、それに……」
「?」
「私、ラミアでしょ?やっぱり私の事怖がる人もまだいるし……」
「メル…。」
「…だから、少しでも可愛くなれば、みんな私の事を怖がらなくなるかな…って。」
「そんなことないよ!メルはいい子だって私たち知ってるし、他の人もわかってくれるよ!」
「リーナ…。」
「だから無理にオシャレしなくっても大丈夫だよ、きっと!」
「…ありがとう。でもオシャレするのは本当に好きだから。」
「メル…。そうなんだね。私もやってみようかな、ネイル。」
「い~じゃん!あ、そうだ!リーナ、今度魔術を教えてよ!」
「うん、いいけど…。急にどうして?」
「ほら、私戦うとき爪伸ばしてたじゃん?でも、それだとせっかくのネイルがダメになっちゃうし…。だから、お願い!」
「…わかった。私協力するよ!」
「やったー!ありがとう!」―――
昨日の部屋でのやり取りを思い出していたリーナ。
その時に聞いたメルの思いが、こんな形で踏みにじられてしまった事に胸を衝かれていた。
(メル…。私が、助けなくちゃ!)
そう決意したリーナ。
構えていたロッドを背に収めると、片方の手を前方に、もう片方の手を上空へと構え魔力を練り上げ始める。
「チッ、何を始める気だ!?女ぁ!」
リーナの周りを白い光が包み込む。溢れ出た魔力が羽根のような形を作り、周囲に舞い散る。
「クソッ、やれ!」
「ッああぁぁ!」
黒ずくめの男が命じ、メルがファイアバレットをリーナに向けて放つが―――
「させません!」
リーナに向けた攻撃を察知したシエルがフレアショットを放ち、ファイアバレットをかき消した。
「貴様ァ!」
そうしてる間にリーナの準備が完了した。
上空に構えていた方の腕も前方に向け、練り上げた魔力を込めて術を放つ!
「エアショック!」
リーナの放ったエアショックはメルの額に直撃した!
「へぶっ!?」
「な…何ィ!?」
リーナ渾身のエアショックを受けたメルはその場で仰向けに倒れ込んだ。
それを見た周囲は動揺し始める。
「は…ハハハ!何をするかと思えば、バカか貴様は!?」
男は高笑いを上げる。
「気絶させたらどうなるか知らない訳じゃねーだろ?コイツの意識がなくなる事によって完全に隷属され…は?」
男がふと倒れているメルの方を見ると…
「きゅぅ~~…」
メルは目を回しながら気を失っている。つまり、男の隷属術から解放された状態となっているのだ。
(ば、馬鹿な…!?完全に気絶しているだと!?)
男はリーナの方を睨みつけた。
「キサマァ!何をしたァ!」
何が起きているのか理解出来ず黒ずくめの男は狼狽え始めた。
そして、その男の背後に人影が迫る!
―――こっちだ、このヤロウ!




