表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/48

第二話 異世界でも死にたい ~チャプター5~

 昼休憩を終え、薬草採取を再開しようとした時だった。


「じゃあ、ここからは二手に分かれて薬草探そっか。」

「…え?」

「目標達成までまだあるし、この方が早く終わるよ?」


 確かにその方が効率よく薬草を集められる。しかし、問題もある。もしまたツノウサギに襲われたら俺一人で対処できる自信がない。

 だが、今日は午前中は1度しか遭遇していない。もっと出てくるものだと思っていたが意外とそうではないのかもしれない。


「…わかった。そうしよう。」

「オッケー。じゃあ私は西側に行くから、ユウヤは東側をお願いね。終わったらここに集合だよ。」


 そう言うと近くの一回り大きな木に印をつける。


「それと、これ渡しとくね。」


 渡されたのは芯に何かが詰められた筒で、片方から紐が伸びている。


「これは…爆竹?」

「うーん、違うかな。これはね、こっちを上に向けて、反対側にある紐を引っ張るの。そうすると、光の玉がぴゅ~んって飛んで、何かあったときに居場所とか知らせたりするんだよ。」

「ああ、信号弾ってことか。」

「そう、それ。何かあったらこれ使って私を呼んでね。」

「わかった。」


「それじゃあ、ヨロシクね~。」


 こうして二手に分かれて採取に赴いた。


                   ***


「よーし、もうちょっとだ」


 採取を再開して小一時間ほど。作業も順調に進んでいた。


「これならツノウサギに遭う前に片付きそうだな。」


 そんなことを口にしていると―――


「ピギィア!」

「おわっ!」


 自分でフラグを立ててしまった…。


(どうする?信号弾でリーナを呼ぶか?いやでも、ここは一人で―――)


 などと迷っているうちにツノウサギが仕掛けてくる!


「キィーーッ!キィーーッ!」

「ちぃッ!クソッ!」


 もう自分で対処しなければならない状況に陥ってしまう。

 しかし相変わらずこちらの攻撃は空を切るばかりである。


(くそっ、闇雲に攻撃しても当たらない…。どうすれば…。)


 何度か攻撃していくうちに、ツノウサギが回避する際にある程度決められたルートを辿ることに気付く。


(そうだ、一度フェイントをかけて、相手が着地する箇所に先んじて攻撃すれば…)


 そうして何度かパターンをしっかり読み取っていき、作戦を実行する。

 フェイントを仕掛け、相手が避けた先目掛けて攻撃を仕掛けようとするが―――


「ピキィーーーッ!!」

「なっ…!?」


 ツノウサギは着地した瞬間にこちらに向かって突っ込んできた!


(くッ!?避けきれ…)


 鋭い角が二の腕を切り裂く!


「―――ッ!!」


 傷口からは溢れんばかりの血が流れだす。もちろん痛みもあるが、それ以上に自分から流れ出る大量の鮮血を目にし気が動転してしまう。


「ぁぁぁあああッ!ああああッ!」


 パニックに陥り、その場でのたうち回る。

 そこをすかさずツノウサギが仕掛けてくるッ―――


(あ…終わった…。)


 悶絶しながらも自分の行く末を覚悟したその時だった。


「エアショック!」


 声が聞こえたと同時に寸前まで迫っていたツノウサギが弾き飛ばされる!


「ウィンドスラッシャー!」


 風の刃が二枚、三枚と飛来しツノウサギを切り裂く!


「ピギャァ!……」


 ツノウサギはそのまま事切れた。


「大丈夫!?ユウヤ!?」


 声のする方を振り向くとリーナが駆け寄ってきている。俺はその姿を見た後そのまま気を失ってしまった。


                   ***


「――――――はっ!?」

「…動かないで。もうすぐ傷ふさがるから。」


 意識を取り戻すとリーナが傷口に回復魔法をかけてくれていた。

 しかしその口調はいつになく重苦しかった。


「……ごめん。」

「うん、もう大丈夫だから。」


「…ねぇ。なんで信号弾使わなかったの?」


 その重苦しさのままリーナが問いかける。


「…その、いきなり出てきて、使う隙がなくて…。」

「…そうだよね。ツノウサギ速いもんね。」

「……。」


 ―――嘘だ。ツノウサギに遭遇した時点ですぐ使うことは出来たはずだ。

 それでもその時は、リーナに頼らなくてもやらなきゃと思ってしまった。というよりイキって一人でもやれると思ってしまったのだ。

 それを誤魔化そうとして、嘘をついた。


 俺は罪悪感に苛まれ、目元を腕で押さえる。


「…はい。もう治ったよ。一応包帯巻いておくね。」

「…ありがとう。」


「あともうちょっとだし、やっぱり一緒に探そっか。」

「…ああ。」


 初めてのクエストとはいえ、イキった挙句自滅して、仲間(リーナ)に迷惑をかけた。

 命がけであることを自覚しながら…、いや、本当は自覚出来ていなかったから、身の程をわきまえない行動に至ってしまったのだ。


 ―――ああ、しにたい。


                   ***


「お疲れさまでした。規定量の薬草とツノウサギ2体の駆除、確認いたしました。」

「…はい。」

「これが報酬になります。こちらに受け取りのサインをお願いします。」


 報酬を受け取り、受領書にサインを書く。


「ありがとうございました。またお願いしますね。」

「…ハイ、どうも。」


「どうだった~?」

「ああ、追加の報酬も貰えたよ。」

「やった~!」

「…これはリーナが持って行ってくれ。」

「えっなんで?二人で頑張ってもらった報酬だよ?」

「…ツノウサギを倒したのは二体とも君だ。俺は足を引っ張っただけだ。」

「…わかった。」


 少なくとも追加分の報酬は、俺が受け取る資格はない。リーナも俺の考えを察して、だまって受け取ってくれたのだろう。


「…それじゃあ、ゴハン食べに行こっか!マンガ肉食べよう、マンガ肉!私のおごりだよ!」

「え…?」

「初クエスト頑張ったでしょ?ぱーっとやっちゃお?ぱーって!」

「で、でも…」

「いーじゃん!私がもらったお金だし、私の好きに使っていーでしょ?」


 …もしかして、リーナなりに励まそうとしてくれているのか?


「…わかったよ。いただきますゴチになります!」

「その意気その意気!よし行こ~!」


 よーし、嫌なことは食って忘れて、いい加減辛気臭いのを引きずるのはやめよう。―――

ここまでお読みいただきありがとうございます。これにて第二話は終わりです。

次回は新キャラの登場、そしてユウヤに必殺技が!?

お楽しみに!


面白いと思っていただけたら、☆評価・いいねを頂ければ幸いです。

また、ご感想・レビューもお待ちしております。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ