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詩集:青空なき獄中の記

壁よ

作者: 歌川 詩季

「遮蔽物」「囲い」以外の象徴でも、壁を描くこともありますね。

 きたならしく こびりついた壁があるなら

 それをなすりつけた あいつが 何処かにいる


 けがらわしく へばりついた壁があるなら

 それをぬぐいつけた あいつが 必ずいる



 崩れ落ちるまで 真っ白いままでと 望んだところで

 ()()かれもするだろうし

 黄ばんだり 黒ずんだり

 触れられるのを拒むわけじゃなければ

 手垢にまみれもするだろう

 だとしたら

 真っ白いままで 崩れ落ちる日をむかえることが

 壁の誇らしい生き様だとは思えない


 しかしながら 見てみるがいい


 あいつが なすりつけた こびりつきは

 その下卑(げび)た にやけづらを(えが)

 あいつが ぬぐいつけた へばりつきに

 そのいけ好かない すまし顔が浮かぶ


 なすりつけて ぬぐいつけて

 きれいな(てのひら)を取り戻した気になった あいつが

 悪気(わるぎ)たっぷりに

 下卑(げび)た にやけづらするのも

 悪びれもせずに

 いけ好かない すまし顔をするのも

 まるで 愉快な話なんかじゃなかった


 崩れ落ちるまで 真っ白いままでと 望んでいた壁は

 ()()かれもするだろうし

 黄ばんだり 黒ずんだり

 手垢にまみれたりして

 誇らしい生き様を

 まっとうすることができたはずなのだ



 きたならしく こびりついて

 けがらわしく へばりついて

 崩れ落ちる日をむかえた壁よ

 とても きれいだとは言えない(てのひら)をしたおれは

 おまえの その無念に

 そっと 手を添えてやるこもできない

 天井や床のイメージを抜きにして、壁単独で想い描けるのも面白いところです。


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【企画提案】
立花 優先生
― 新着の感想 ―
[良い点] 今日も良いです。詩に、正に「えん罪」の匂いがしてきますね。 [気になる点] 無 [一言] 無
[良い点] 壁そのもので詩になるのですね! 壁の詩、「カッコいー」です。 ベタでごめんなさい。
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