07 憧れのステータスオープン
【残虐】2000
ぽわん、と浮かぶ半透明の板のようなものに浮かぶ、何故か日本語のステータス。
……ステータス?
「えなにこれ? これお前のステータス? なの?」
「そうみたいね」
何故か胸を張って誇らしげだ。
「比べるものがないから、何がどうすごいかわからないんだけど。体力も知力も魔力もないって、雑魚じゃないのか? ていうか残虐って」
「なるほどね、残虐が2000もあったから、ダンジョン内のモンスターが八つ裂きになってくれたのね」
「何してんだお前! だからあの返り血だったのか!」
というか残虐とかいうステータスを当たり前のように会話に織り込むな。
「ステータスオープン……!」
そんな俺たちの会話をよそに、少しワクワクした声音でミモリがなかのの真似をする。
【交渉】2000
「わあ、交渉だって!」
目を輝かせて喜ぶミモリ。そんなに嬉しいか? 残虐よりはマシだろうが。
その、腕を上にあげて垂直跳びするのは司書の間で流行ってるの?
「だからさっき街でイスキさんの服を買った時、三次元日本国の消費税みたいな価格で買えたんだね!」
「え、元値の10%で買った服なのかこれ。なんか臭い気がしてきた」
無邪気に喜ぶミモリに、コトが良かったですねと笑いかける。
しかし胡散臭いステータスだ。
「我、黄昏の巫女、神子時コトが命ず……我が祈りに応え、この世に顕在するステータスをオープンせよ……!」
また適当なこと言ってる。「神子時コト」とか言うかっこいい名前剥奪して、「適当なコト」とかいう二つ名っぽい名前でいいと思う。
【防御】5000
「普通に有能なのがすげームカつく」
大喜利会場なんじゃなかったのか? どうりで、さっきの拳骨に痛がる素振りがなかったわけだ。
「みなさん、コトの後ろで震えていな。このおコト様が、おめーらの命守ってやんよ」
小さな身体で精一杯胸を張り、ドヤ顔。ミモリはパチパチと拍手している。
「すごい! 5000なんてステータスが稀なのに! しかも防御力なんて、もうどんな攻撃も怖くないよ!」
「ま、まじで? すげーじゃんコトスケ」
「変な呼び方しないでください」
チートモブ・おコトさまが、じとっとこちらを睨む。コトスケって可愛いあだ名だと思うけどな。
残虐のなかのも、そのステータスにはご満悦なようだ。
「さて、あとはあんたね」
「イスキさんは、開幕触手に捕まっていましたし、エロとかじゃないですか?」
「指宿イスキ、ステータス【エロ】4545ってか! あははは、それめっちゃいいじゃない!」
なかのが俺を指差して、腹を抱えて笑う。
「人のまだ見ぬステータスで笑うのやめてもらっていいすか?」
あいつら酒飲んだおっさんのテンションだ。
俺は少々の緊張と、大きな期待に不安を添えて、その夢の言葉を叫んだ!
「ステータス、オープン!」
【誘惑】5000
「エロじゃん」
そう呟いたコトが、また俺の拳骨を喰らったが、防御力でケロッとしていた。