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マッチ売りの少女は伝説の騎士プリンセスナイト

作者:花園茉莉

「寒いなぁ」

 クリスマスの夜を歩く人々はせわしないがどこか1年に一度の大イベントに活気づいていた。
だが私は身も心も寒空に震えていた。

「売れないなぁ」

歩けども、声を掛けよとも、マッチは一向に売れなかった。
だが、1本も売れず帰ったらきっとお父さんにひどく怒られるだろう。

「お腹すいたなぁ」

大きな家からごちそうの匂いがする。
家の窓から少しのぞくと
スープに七面鳥の丸焼きふかふかのパンなど
さまざまなごちそうがテーブルいっぱいにならんでいた。

「かわいいなぁ」

売れることのないマッチを持って歩いていると、前方から新品のキラキラした白い靴をはいて
フリルのついたかわいらしいドレスにを着た
同い年ぐらいの女の子がお付きの人と歩いている。


「いいなぁ」
大きなプレゼントを持った女の子がお父さん、お母さんと一緒に歩いている。
とても幸せ光景に私は心をしめつけられた。

などとぼーっとしていると前から馬車が現れ轢かれそうになった。
間一髪よけられたが、つまづき、膝をすりむいて、売り物のマッチのほとんどが雪に触れてしまい
使い物にならなくなってしまった。


1箱も売れなかったうえにほとんどを無駄してしまった。
なんて言ったらきっとお父さんは大激怒して私はぶたれるだろう。

「帰りたくない」
途方に暮れて小さな公園のベンチに座った。

私にはなにもない。
寒さをしのげる場所も、おいしいご飯も、
かわいい服も、暖かい家族も
涙があふれてくる。

転んだとときにバラバラになったマッチが5本だけ残っていた。

「使えば少しは暖かくなるかな」

1本目のマッチを擦る
頑丈なレンガ屋敷に炎が上がっている暖炉と大きな部屋が見えた。

2本目のマッチを擦ると
できたてのスープと七面鳥の丸焼き。
ふかふかのパンがいっぱいにならんだテーブルが見えた。

3本目のマッチを擦ると
キラキラの白い靴をはいて、フリルのついたかわいらしいワンピースを着た私の姿が見えた。

4本目のマッチを擦ると
優しかったおばあさんとお母さんが見えた。
おばあさんとお母さんが死ぬ前はお父さんも優しかった。
貧しかったからプレゼントはもらったことはなかったけど
幸せだった。

「あのころに戻りたいよ」

最期のマッチ。
これを使えばどんなまぼろしが見られるのだろう……
飢えと寒さにもう、ほとんど力が入らなかった。

マッチを擦ろうとしたそのとき

「待って。まだ君にはなさなければ、ならない使命がある」
突然と聞こえる声。

「だ、誰?」

あたりを見回しても私に話しかけている人は見つからない。

「まだ死んではいけない。だって君はこの世界を救う伝説の騎士なのだから」

声色は12、13歳ぐらいの男の子かな。

でも、世界を救う伝説の騎士とはなんのことだろう?
私にはまったく理解が出来なかった。

「この世界には……僕には君が必要なんだ!」

……私が必要?
そんなこと言われたのいつぐらいぶりだろう。
なんだか心が暖かくなった。

ズドーン
突然、けたたましい破壊音が響き渡る。

「え!?」

普通なら逃げなきゃいけないのに、不思議と破壊音のする場所に向かって行った。
すると、目の前には信じられない光景が広がっていた。
巨大化したスノーマンのようか怪獣が暴れまわり街を破壊していた。

「なんなの!? これ」

非現実的なできごとに呆然としていると、空中に浮いた、長髪の男の人と目が合う。
ビクリ震えてと背筋が凍る。
なんて冷たい目をしているんだろう。

私は逃げ惑う人々をよそ目に動けずにいた。

「心の中で浮かんだ言葉を声に出して、プリンセスナイトに変身して。」
男の子の声がまた聞こえる。

「私なんかじゃ救えないよ。無理だよ」

「そんなことない!君は選ばれた騎士なんだ」

怪物が私を見て、こぶしを振り下げる。
もういいか。生きていてもいいことなんてない。
次に来る衝撃に目を閉じる。

衝撃がこない代わりに。鈍い音が聞こえた。
目を開けると白い猫が傷だらけになって倒れていた。

「僕には……君が……ひつようなんだ……」

猫から今にも消えそうな男の子の声が聞こえる。

「どうして、私なんかのために」


怪物が再びこぶしを振り下げる。
このままじゃこの子まで死んでしまう。
“守りたい”そう強く思った。

そのとき、頭の中で呪文のような言葉が浮かんで
私は最後に残ったマッチに火をつけた。

「プリンセスナイト!! ドレスアップ!!」
と唱える。

すると赤色に輝き煌く炎と光が私を包む。
さっきまで凍えるほど寒かったのに心身に火が灯ったように暖かくなる。
そして、髪の毛の長くなって色も変わり、
ツインテールに結ばれる。
服も見たことのない煌びやかものになっていく。

「深紅に煌く炎のナイト。プリンセスルージュ!!」
というセリフとポージングを決めた。

なんだかとても恥ずかしい。
すると光が少しづつ薄くなりやがて破壊された街並みが広がる。

「何だお前は。まぁいい。やれ」

男の人が命令しスノーマンが襲いかかる。

殴りかかるこぶしをよけるためジャンプすると
民家の屋根が真下あった。

「え!?」

わけがわからず混乱していると目の前にスノーマンがいた。
ストレートパンチを繰り出される。
私はとっさにこぶしを合わせた。

するとスノーマンの方が勢いよく飛んで行った。

「うそ。私、もしかして強いの。本当に伝説の騎士なの!?」

とりあえず倒さなきゃ!
私は慣れないパンチやキックを繰り出した。
すると面白いぐらいにヒットしスノーマンのは弱っていく。

「これなら、倒せる!」

とどめのキックを入れようとした、そのとき

冷たい目の男の人がスノーマンに向かってなにかを投げる。
するとスノーマンが禍々しい黒い炎をまとい。
大きくなり目つきもするどくなった。

突然、お腹に衝撃が走りガレキに叩きつけられた。

「うぅ……痛い……。」

どうやらスノーマンの攻撃を直で受けたようだ。
さっきとは比べ物にならない。見えないぐらいの速さだった。

それからは防戦一方でスノーマンから繰り出さる連打にさけるので精一杯だった。

「あっ!!」

また一発入ってしまった。
もう駄目だ。
そう思ったとき

赤色に輝く光が見えた。
光をつかみ

「ルージュキャンドル」
と無意識に言っていた。

見た目は剣のようだが先に火が灯っている。
私はキャンドルを手に取り。
立ち上がり、スノーマンに立ち向かう。

「負けない」

「漆黒の闇に灯す愛の炎!! ホーリーナイトフレイム!!」
すると炎がスノーマンに巻きつき溶かされていく。

完全に溶かされた後に輝く雪の結晶が降りそそぎ破壊された街が元通りになった。
倒れていた人々も起き上がり始めた。

私は冷たい目の男の人にキャンドルを向ける。

だが、男の人はなにも言わずに消えてしまった。

「終わった……のかな。あ!!」

気づけは服も元通りになっていて不思議傷も消えていた。
倒れている猫が目に入るり駆け寄る。
何が起こったのかとざわつく人々は傷ついた猫には目もくれない。

「大丈夫!?」

「ありがとう……。この世界を救ってくれて。でも、まだ終わったわけじゃない。
また、新たな刺客が襲って来るだろ。その時は君のプリンセスナイトの力が必要になる」

薄い光を放ちながら姿が透明になっていく。
私の目からは涙がこぼれる。

「大丈夫……。でも元気になるには少し時間が必要みたいだ。光の世界でいつでも見守っているから。
そして、忘れないで君は決して一人じゃない。僕の名前はロロ。名前を教えてほしいな」

「私はアリスだよ」

「アリスか素敵な名前だね」

そう言い残すとロロは消えてしまった。

「ロロ。私、頑張るね。プリンセスナイトとしてこの世界を守るよ」

涙をぬぐい
しんしんと降りつもる雪の夜、私は誓った。



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