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parallel every day  作者: 理下 流
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4話 勘違いと

 近所の近くに可奈と二年参りに来ていたはずが、気づけば森の中。


 俺は数秒ほど固まってしまった

 あまりにも驚いたから

 森の中に飛ばされたからではない

 自分の身に何が起きたのか理解することが出来たから


 だけど、なぜ?

 それは絶対にあり得ないはず―――――


「お久しぶりです、篠永(ささなが)君」

 訳が分からずにいると横から聞き覚えのある声で話しかけられた。


「霞さん、なんで....」


 そこに立っていたのは氷堂 霞(ひょうどうかすみ)

 腰あたりまである髪を一つに束ね、昔と変わらずに漆黒のパンツスーツを着用している。



「約束した期限がきたので迎えを送ったのですよ」

 やはり、訳が分からない。

 なんの期限だというのだろう、辞めた人間に期限もクソもない。


「全く理解していないようなので面倒ですが説明して差し上げます。あなたは学院を辞めた、そう思っていらっしゃいますね?」


「思うも何も。俺が契約書にサインして、それを受け取ったのは霞さんでしょう。今になってそれを反故にすれば罰が下るはずだ」

 俺は確かに契約書にサインをした、そして学院を辞めたのだ。

 契約は絶対。破れば相応のペナルティを受けることになる。


 なのに、なぜこの人はピンピンしている?


「私は契約など破っていませんよ。確かにその契約については無かったことにさせてもらいましたが。あなたは重要なことを忘れている」

 霞さんはその凜とした綺麗な顔にうっすらと笑みを浮かべながら、諭すような口調で説明を始めた。


「あなたが契約書にサインをしたのは18の時でしたね?つまり未成年です、その場合には親権者の同意が必要になる。」


「そんなことは分かってますよ、だからアイツからも許可をもらったでしょう?それで俺は学院を........」


 待て、俺はアイツが契約書にサインをしている所を見ていない。電話で許可はとったが「忙しいから後日サインを書きに学院に顔を出す」と言っただけで....


「お気づきになられましたか?あなたの親権者はキース様ですが、キース様はその()()()()()()()()()()()()。しかし、篠永君の意思を尊重したいとのことで契約を一部変更した上でサインをしたのです」


 そうか、そういうことか。

 すべてアイツの仕業か、それなら全て合点がいく。

 やけにあっさりと学院を辞めることを認めたなとは思っていたのだ。


「その変更内容っていうのは....」

 呆れながら霞さんに続きを促す


「【学院の退学を認める】ではなく【二年間の休学の後、学院に戻す】というものです。我々もそれに同意し、契約は成立しました」


 そうだ、俺が学院を辞めてちょうど二年が経過したのだ。

 それがついさっきの事で、森の中に飛ばされたのは多少手荒な迎えというやつだろう。


「アイツは何か言っていましたか?学院を辞めてから連絡がとれなくて」


「お忙しいですからね。手紙を預かっていますよ」


 少しばかり驚いてしまった。

 キースと真面目な話をしたことなどないし、手紙など書くタイプでもないというのに


「ったく、それなら最初から俺に説明しろっての」


 霞さんから手紙を受け取って封を破り手紙を取り出す

 どんな内容の手紙なのだろう、腹が立っているにもかかわらずワクワクしてしまう


 手紙は短かった


『一時的な気の迷いで病んでいる青臭い馬鹿へ


 お前は必ず日常に飽きる、賭けてもいい。

 そういう風に出来てんだよ、この二年間で気づけ。


 だから先回りして契約内容をイジっておいた、せいぜい感謝するこった。 』  



 悔しいが、コイツの言うとおりで。


「学院に戻る覚悟は出来ましたか?」


「友人に挨拶出来なかったのは心残りですけど、どうせ戻るしかないんですよね?」


「そういう契約ですので、選択権はないですね」


「ですよね、ご迷惑をおかけしました。またよろしくお願いします」


 怒濤の展開で、正直まだ実感が湧かないし気持ちの整理もついていないけど

 それでも俺は心のどこかで喜んでいた


 今までの大学生活を失った事については自分でも驚くほどに無関心で、それが少し怖かった

 ここまであっさりとあの日常に別れを告げられるのか

 学院を辞めたことをあれほど後悔したというのに

 こうなれば自分の本当の居場所がどこか、なんてことには馬鹿でも気づく


 可奈にはしっかりと挨拶をしておきたかったな、あいつまた怒ってるんだろうなぁ....

 今度謝りに行くから許してくれよ

 なんだかんだ本当に友達と言えるのはアイツくらいだったんじゃないだろうか


「篠永君、そろそろ行きましょうか。手続きに加えて、罰もあることですし」


「手続きですか....めんどくさそうだ。え、罰?」


「キース様の手紙に書いてありませんでしたか?篠永君は二年間も休学をしていたのです、当学院では休学のシステムが存在しません、あなたの休学は特別処置なのですよ。それが何の罰もなくすんなりと復学できるとでも?」


 嫌な汗が背中を伝って流れるのを感じた。

 慌てて手紙をもう一度確認すると


『  P.S. 二年間も休学したんだ、それ相応の罰は覚悟しとけ。詳しくは霞さんから聞け』








急に忙しくなって更新が遅れました!


やっと物語が始まりつつあります、まだ謎な部分も多いでしょうがお付き合いくだされば幸いです

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