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parallel every day  作者: 理下 流
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1話 本心とポエマー

 

 単位が散っていく。俺の単位.......

 時間は11時57分、2限の講義終了まであと3分である。同時に後期の残りライフ(単位)が14になるまであと3分。おかしい、なぜだろう。後期が始まった時点では確かに28ライフ所持していたはずだ。それが14...........?


 半分である、そうもはや挽回する手立てもない。

 昨日の時点ではライフは18だった、そしてそれを死守せんとするために21時には布団に入った。そして、23時に目覚めると同時にサークルメンバーが集まる居酒屋へと飛んでいった...........



「いやなんで飲みに行ってんだ俺はぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ?!!!!!」


 昨晩の出来事を思い返していると、自然と自分で自分に突っ込みをいれていた。ああそうだ、昨日21時に寝たはいいもののなかなか寝付けずに起きてしまった。それがいけなかった。KINEのグループチャットでサークル飲みが行われていることは知っていたが、それを無視して寝たのに、布団に入ったのにぃぃぃ。あぁ、無情。

 

 合流した後は言うまでも無く二次会、三次会と暴れ倒し家に着いたのはたぶん朝方だった気がする。気持ちよく寝たんだろうなぁ。

 いくら悔やんだところで単位は戻ってこない、今手の中にある大切な物を守り抜こう。などと一人訳の分からない誓いを立てているとスマホの着信音。


 こんな朝っぱらから電話がかかってくることなど珍しい、まさかアイツではないだろうなと少しビクビクしながら電話に出る。幸いにも電話の声の主はアイツではなかったが


「はやく着替えて大学にきなさい!!!!!!!!!!!!!」


「なんだ可奈か、なんの用だよ。もう単位は散りました。アディオス~」


「明日からの合宿の打ち合わせするって昨日約束したでしょう。あんたの単位なんて知ったこっちゃ無いわよ。来ないなら私が家行くけど?」


「すみませんでした、家には来ないでくださいお願いします。すぐ行きます!!!!!」


「この前エロ本見つかったのまだ気にしてんのね」


「と、とりあえずすぐ行くから待っとけ」


 電話を切って即行で身支度を整えて家から出る、大学までは自転車で1分未満という良立地。なのになんで単位がとれないんだろうね!不思議!


 外に出た瞬間、外気が皮膚に突き刺さる。冬は嫌いじゃない、むしろ好きだ。コタツとか、鍋とか。でも、顔が寒いのだけはどうにも出来ないので本当につらい。今すぐ家に帰りたい。

 なんて、文句を数行頭の中で組み立てるうちにあっという間に大学に到着。


「さてと...」


 待ち合わせ場所は確か学生課の一階ロビーだった気がしなくもないので行ってみるとビンゴ、茶髪のロングヘアーを発見。


「おっす」


「はやい。さすが、家近いだけはあるわね」


 サークルの同期の 満木 可奈みちきかなである。身長は175cm近くあるうえにスポーツ万能(というか馬鹿力)、強気で男前。そして美人。けれども彼氏はいません、理由は簡単。このお方、異性に興味が無いんです、ええ全く。これぞ宝の持ち腐れ。


「なめてもらっちゃ困る、最強の一人暮らしとは俺の事よ」


「............................そのくせ単位はとれないのね」


「さて、話し合いを始めようか」


 都合の悪いことは聞こえませーん、何も聞こえなかったよボクは☆


 合宿のある程度の流れを確認し終えて、時刻は14時。家に帰っても特にすることもないので飲みにでも行こうかしら。


ひかる、この後暇?暇だよねどうせ、バイトもこの前辞めたし」


「暇だぜ!!!」


 胸を張って宣言してやった。課題もバイトも何も予定ありません、当然彼女もいるはずありません。暇ですとも。

 家でやることといえばネットサーフィン。


「そんな自信満々に....ならサシ飲みしない?久しぶりに」


「おー、確かに久しぶりだな。いいぞ、奢らないがな」


「あんたに奢りなんて期待してないわよ」


「ですよね、どこいきますか」


 予定もないのになぜ金がないのか。いいえ、予定はなくともその日その日でお酒を飲んでバカ騒ぎしてればお金は消えていくのです。その結果女の子と二人でお酒を飲んでも奢れないほどの財政状況。俺、かっこわるいね.......


「駅前の居酒屋が今日安い日だしそこ行こうよ」


「あぁ、そっか今日は月始めだったな」


 今日は12/1、今年も残り一ヵ月となっていた。

 講義も半分以上終わっていたのに、あと少し頑張れば単位もらえたのになぁ。


 その後、適当に時間をつぶして可奈と酒を飲み、家に帰った。


 サシ飲みと言ってもなにか特別なことを話したわけでもないし、二人の仲に進展があったなんて事にもならなかった。まぁ、可奈と飲むのは精神的に楽だし気をつかわなくていい分純粋に楽しめる。


 いつも通りの日常。


 こんな事をあと二年ちょっと繰り返すのか。












 あぁ、つまらない。楽しくない。





 苦し紛れに酒を飲み、友人達と遊び。

 朝まで騒いで、昼まで寝る。

 楽しい気分にはなる、一瞬ではあるが。

 友達の事が嫌いなわけでは無い。好きでもないが。

 

 ただ、どうしようもなくつまらないのだ。

 他人のせいではない、自分の心が病んでいる。


 生きながらにして死んでいる気分だ。

 何をしたって満足できず、かといって打ち込める物もなく。

 ただ無為に人生を消費している。

 

 ごく普通の大学生、世の中のほとんどはこんな生活を送っているのだろう。

 よく楽しめるなと思う。


 自分には到底理解不可能、苦しくてつらいだけだ。


 なんでこんな生活に憧れたのか

 どうして自分には無理だと気がつかなかったのか

 今となっては手遅れで、どうしようもなくて


 普通に生きることを選んだ自分が悪い

 分かっているが受け入れられない

 受け入れずとも時間は進む

 このまま何にも夢中になれず、人生を終えるのか






 なんて本心を抱えながら、痛々しいポエマーだと


 自分自身を嗤って隠して


 これからも普通の大学生活を消費するのだろう。


 それが俺の望みだったんだから。










時間に余裕ができたため書き始めました


コメントを心待ちにしております!!

更新速度ははやめ(のつもり)です


よろしくお願いします

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