映し鏡
真っ暗闇の静寂に
水の滴る音が広がる
ハンドソープであろう
優しい匂いが漂う
鏡の中の君は誰?
まるで私を拒むように
その顔は見えない
目を凝らしても
目を凝らしても
闇しか映さない
鏡の中の誰か
君は何を考えているの?
私の問いかけに応えることもなく
ただ そこに佇む
次第に耳鳴りと自分の鼓動を感じた
ピーという高い音に
ドクンッドクンッ
という脈打つ音が響く
微かに聞こえてくる水が滴る音は
私の不安をさらに仰いだ
ゆっくりと近づく
鏡の中の誰かは
暗闇を黒い何かが切り裂くように
確実にこちらへ向かってくる
私は 逃げ出した