ノリと勢いだけで書き上げろ!バーニング短編駄文(全二回)
僕は発条葵。こんな名前だけど、ちゃんと男だ。
僕は現在、名前はそこそこだけど、将来的に落ちぶれること必至の私大文系に通う1年生だ。
転勤族で中高と友達がおらず、大学でも獨りを突き通そうという堅い意志で、話しかけてくる人間を片っ端から無視した結果、居心地の良い孤独な空気を勝ち取ったのだった。むしろ僕が空気だった。
協力できる友達や頼りになる先輩はいないので、今から将来を見通し、公務員の勉強を始めた。人と話すことなく、仕事もない市役所の閑職に回され、腫れもの扱いされゝばよいと思っている。
そんな風に、他人に何の興味も持たない僕が、屈辱的なことに目を留めざる負えない事象が起こってしまったのだ。
講堂で行われた、部活の新入生歓迎(勧誘)会。
目の前で袖振れとかダンスとか野球だとかの腕前が披露される。中高で帰宅部だった俺は、もちろん部活なんて興味なんかなく、その場からトンズラすることにした。
それで、お慰みに部活紹介に目を通して、一つの部活に目が留まった。果たしてそれは部活といってよいものか、野球部、バスケ部、ボート部といった平凡な名前に紛れて、こうあった。
野球部
バスケットボール部
言い負かしたい奴がいたら、私のところに来い
ボート部
…
「言い負かしたい奴がいたら、私のところに来い」
もはや文章である。意味が分からない。
部活に入る気はなかったし、言い負かしたい奴もいなかったが、僕は自然とそのブースに足が向いていた。
そこには何の装飾も、看板もなかった。
人気のありそうなそでふれ部、閑古鳥が鳴く飛行機研究会に挟まれ、なおポツネンとただの机だけが置いてあった。
いや、その上にプリントが一枚。
「055教室 平日17:00-18:00」
そして17時5分前。
昼過ぎにあった歓迎会を終え、ひたすら図書館で時間をつぶし、僕はついに055教室の前に立っていた。
「言い負かしたい奴がいたら、私のところに来い」とのラミネートが廊下の椅子の上に置かれていた。赤い背景に白文字で書いてあった。
大丈夫、もうやってる。
意を決してドアをノックする。
若い女性の声が中からして、僕は教室に入る。
そうして、僕と彼女は出会った。