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JACK+ グローバルネットワークへの反抗   作者: sungen
シカゴ編(2月24日~)
92/151

第12羽 メッセージ ④殺人 /シカゴフットワーク -2/4-



ダンサー!?

パッと見てノアはそう思った。一人がラジカセを持っている。


「チッ。シカゴ連中か…!」

イアンが舌打ちする。通れないので、自然立ち止まる。


ノアは周囲を見た。こんな所になぜダンサーが?

もう三キロは走ったと思う。タウンハウスが並ぶ住宅街の終わり、右手は中層の灰色のビル。左手も。だがまだ都心ではなく、かなり辺鄙と言って良い。

総勢で十名ほど。


「よう?どうかしたのか」

一人目、黒人がノア達に声をかけてきた。明るいオレンジ色のウィンドブレーカー。カーキの綿パン。派手な緑と赤と青と白のスニーカー。都会的なファッションだ。

地元のダンスクルーの集まりかもしれない。皆、揃いの赤い帽子をかぶっている。


「おっ、スゲー煙が上がってるな」「火事か?」

他の男達は煙の上がっている方向、つまりベスの家の方向を興味津々と眺める。


その会話を聞いたノアは、歩調を押さえ安堵した。

良かった、普通の人達だ…!


「ハァ、はぁっ…」

ノアは立ち止まり汗だくのまま息を整え汗をぬぐう。イアンもそうした。


息を整えたイアンは、直ぐ顔を上げた。


「急いでいる。お前達と争う暇は無い。邪魔だから消え失せろ」

「―…」

イアンの物言いに男達は絶句した。


―もうちょっと、なんとかさ!!


急いでいるノアでさえそう思った。イアンはしまった、と言う顔をした。


サイレンの音が追ってくる。

拳銃を撃ちまくり逃げたノア達は、警察にも追われているのかもしれない。

戸惑うノアにイアンは『これは正当防衛だ!』と叫んで奴らを撃った。

――早く逃げなければ。あのイカレタ連中も来るかも!?ノアは早く走り出したかった。

遠くで聞こえた小さな爆発音に、嫌な汗が伝う。


「悪い。英語は苦手なんだ」

「―あンだと!??」

「気を悪くさせてゴメン!こいつ英語下手で馬鹿なんだ!」

ノアは間に入って必死に謝った。パトカーのサイレンが聞こえる。

レオンの話だと警官に捕まったら即、牢屋行きらしい。自分は殺人者…これからは逃亡生活?…この国の正当防衛はどこまでいけるのだろう?


「ねえ!…ここ、通ってもいい?」

ノアは無理そうだと思いつつ、一応はにかんで聞いた。

もしかしたら行けるかも?


「駄目だ」

「あ…やっぱり?」

ノアは肩を落とした。


「リーダー」

と一人が言って人垣が割れ…。十一人目、背の高い男が出てきた。


薄いブルーのジーパンに、緑の襟付きシャツ。

ウエーブのかかった肩ほどの茶混じりの金髪の白人。キャップ。目がくぼみ、鋭い眼光…。

この人は腕っ節も強いかもしれない。ノアはそう思った。


「ポリスに追われてるのか?」

そのリーダーらしい男がそう言った。低く、落ち着いた声だった。

「いや、違う。俺達は危険指定教団『No.zero-one』から逃げている」

イアンが舌打ぎみに言った。

ノアはリーダーと対峙するイアンを見てハラハラした。


ゼロワン―それが奴らの名前?いや、番号?!


「!ほぉ。なるほど大変だな――じゃあ、通そう」

リーダーは知っているようだ。有名なのだろうか。

「そう!サンキュー!」

とにかくホッとしてノアは通ろうとした。しかし、別の者が三人、ニヤニヤしながらノアの行く手を塞ぐ。イアンの前にも同じく余名が詰め寄る。

「と、それはやはり出来ないな。上からの命令だ」

「上だと?」

イアンが言った。


「…ここらも今じゃ、ネットワークが幅ってるんだよ」

イアンの前の男が忌々しげに言った。


「…俺達はBIGの言うことしか聞かないんだが、まあ、こっちにも色々あるのさ」

リーダーはそいつを一別し黙らせ、そう続けた。


ネットワークの言うことを聞きたくなる理由…。

「あ、人質?」

ノアは言ってみた。

「―ゲホン!ゴッホ!…まあ、金髪坊やは通すな、捕まえて連れて来い、って話だ」

だいたい当たったらしい。リーダーが咳き込んだ。

「ええっ!だから俺達は今―」

ノアは近づくサイレンの音に後ろを振り返った。


いや、まだ大丈夫だ。かなり裏道だし…、けどあのイカレタやつらから、今すぐ逃げたい。…群がられた時は殺される!と思った。

「もう、そこどいて!」

ノアは実力行使でいこうかと考え始めた。ジーンズの、後ろポケットの自動拳銃で威嚇して通れば簡単だ。


「BIG―つまり、お前達の『JACK』か。ここを通せばいずれ救出してやる」

焦るノアを余所にイアンが言った。


男達の一人がイアンを鼻で笑った。

「―ふん、サロンのお遊びはもうお終いだ――。いや…このシカゴも、アメリカもな…」


「畜生っ、やつらジュニアを…まだガキなのに!」「くそ…JACKも重傷なんだ…!」

厳つい男達の表情は冴えない。


「あーはいはいはい!事情は良く分かったから!早くどいて!」

ノアは足踏みしながら焦った。


リーダーは笑った。

「嫌々だが、俺たちも一応、頑張りましたって報告しなきゃならない。――そこで、俺たちのダンス『FOOT WORKING』で勝負だ。勝ったら通してやる。異存は認めない!!」


――フットワークキング!?


「え。何ソレ!?イアン出来る?知ってる!?」

ノアはイアンに聞いた。

「これは自慢だが、俺はブレイク意外は全くやらない」

イアンは胸を張った。

「―この役立たず!」

ノアは天を仰いだ。

「ええと、フットワーキング?…シカゴ??…あれ、んん、あ、ベスが――、そうだ。レオンも何か言って…?…ちょっと思い出すからストップ!」


ノアは額に手を当て、敵を手のひらで押しとどめ、だいぶ前の記憶を思い出した。


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