第12羽 メッセージ ①警告 -4/4-
「……妹っ!?」
ノアはすぐ我に返り、イアンを見た。
「ああ。名前は、アビゲイル・クイーン・ヒルトン。君は、ノア・エース・ヒルトン。…二卵性の双子だそうだ。…俺も、いまだに驚いている。まさか、そんな事はある訳無いと思っていた…。全く…、ジョーカーは…とんでもない野郎だ…」
イアンは机の上で腕を組んだ。そこから左手で額を押さえる。
「……うそだろ…!!??俺に妹がいる!?」
理解したノアは衝撃を受けた。
「ああ。エンペラーのお話だと――ジョーカーは君の事を発表し、会議室を去る直前に、『そう言えばもう一人いる』と言って打ち明けたらしい。もちろんネットワークの上役連中はまた大騒ぎになった…。…だが、全く、――実の娘にあそこまでするか?」
イアンは眉をとても潜めている。
「…どういうこと?」
「…ジョーカーは銀髪。あれは地毛らしいが、俺の知ってるアビゲイルは、黒髪に青目。つまり――偽装だ」
「偽装?」
「ああ…俺は昔、彼女に会ったことがあった…」
イアン曰く。
彼は十歳の頃、父親に連れられてプロジェクト傘下のあるハウスを見学に行った。
…彼の父はプロジェクトの支援に積極的で、プロジェクトハウスでは下へは置けない扱いだ。
プロジェクトのサブハウスは、アメリカ内に何カ所か存在する。
――その辺境のプロジェクト施設で育てられていたのが、八歳くらいのアビゲイルだった。
その時、彼女はもう黒髪で。目の色も青かった。
時は流れ。イアンは妹の為にサロンに入った。…妹の為という事もあったが、彼がダンスをするための条件がそれだった。主な理由は宗教。名前と故郷を捨て、ほぼ家出。
その頃、アビーは、『スクールにすごい歌手がいる』と、歌のネットワーク幹部の間で有名になっていた。
イアンはサロンに入って間もなくその噂を耳にして、あの子かとすぐに思い当たった。
だが、イアンを初め皆、黒髪の彼女しか知らなかった…。
「…つまりいつからかは知らないが、彼女は子供の頃から、父の命令で髪を染めて、あるいはウィッグか?紫の目にカラーコンタクトを入れて、ずっとそうやって生きてきたんだ。そうさせたジョーカーの真意は謎だが。…君達は、まだ奴の支配下にあるに違いない。……君は、『あの男』を倒し、その後を継げるのか?」
…ジョーカー。
「…」
…そいつが、…敵で。そいつを倒す?
ノアはタイピングどころでは無くなった。
〈おわり〉




