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第10羽 追徴 ③悪魔 -1/5-

対ネットワーク計画(大した事無い)は続編のネタバレなので伏せさせて下さい(^^;)

真夜中なので、誰も居ない。


速水は砂浜にいた。

固そうな場所を選んで歩く。

彼はいつもの格好。肌寒いので大きめのジャケットを着て、軽いマフラーを巻いている。


…波が寄せている。少しでも近寄ると逃げる。


犬はその辺りで波を追いかけはしゃいでいる。

レオン達は少し離れた所に停めた車の側で、あくびをしている。


速水は電話を掛けていた。

カモメが鳴いている。それに混じってカラスがカーカー鳴いている。


「エリック。いままでごめん…俺が馬鹿だった」

速水はどう切り出すか考えた末、結局あやまっていた。


「…こっちに来ないか?一緒にサラを探そう」

速水はそう言った。



■ ■ ■



「エリックは、明後日には来るってさ」

車の近くに戻り、速水は言った。

「ふあ…、それは良いが、なんで俺らまで…」

時差の関係で電話は夜にしないと、イギリスとはタイミングが合わない。


「あそこじゃ誰が聞いてるか分からないし。海が見たかったんだ」

速水は言った。

そして、この先の国、日本にいつか帰る日が来るのだろうか…。そんな事を思う。


「エリーはどうなんだ?」

レオンが聞いた。


「大丈夫。ケイが請け負ってくれた。後は…ノアだな」

「ああ。っとに…あいつどこにいるんだ?行きそうなトコは調べた。どれも空振りだ。マジで捕まったのか、それともどっか彷徨ってるのか…」

レオンは溜息を付いた。

ノアが育った教会、ベスの実家も張らせているが空振りだ。


「…案外、近くにいるのかもな」

速水は笑い、何となく言ってみた。灯台もと暗し、そのことわざ通り言ったら本当になるかも知れない。

…少なくとも、ノアは自分より大人だ。彼はどうして立ち上がれたのだろう。


「トウダイモトクラシ?」

レオンがカタコトで言ったので、速水は驚いた。


「…昔ジャックが言ってた。まあそれよりも、明日で日程は終わりなわけだが…」

犬はまだ号令が無いので海にいる。


「―あ」

その時、潮風が吹いて速水は帽子を飛ばしてしまった。


「取って来てくれ!」

砂浜の犬に声を掛ける。

犬は楽しそうに、必死そうに駆けて行った。


「しかし、もう完璧に犬だな。どうやったんだ?」

レオンは呆れていた。

「あいつも、疲れてたんだよ」

速水は苦笑した。


「ダンスで世界平和。できたらいいのにな。…あいつは出来るって信じてた」

レオンに背を向け、海を眺める。


「けど…俺は人殺しのお前が生きてる限り無理だって言った。でも犬だったらきっと許されるって。お前は人に生まれたのが間違いで、人じゃ無ければ良いんだって…、──凄い。取った。偉いぞ!」

ウルフレッドが頑張って帽子を拾い、速水は嬉しそうな声を上げた。


…ジャックに貰った、大切な帽子のハズなのに、たまにどうでも良くなる。

けど無くしたら凄く後悔する。


平和ってそんな物かもしれない。


速水はそんな平和な事を考えていたが。

「…げっ。お前悪魔かよ…。マジであいつに言ったのかそれ」

うっかり聞いてしまった再教育の内容にレオンはげんなりした。

元傭兵のウルフレッドが一番気にしてそうな事を…。そしてそれプラス色々か。

マジで友達やめたい。いや、なった覚えも無いが。


要するに、ウルフレッドは弱みにつけ込まれたのだ。優しさとも言う。

とすると、…彼なりに納得して速水の犬になったのだろうか。もともと犬だったらしいが。

本当は、精神も壊れていないのかも知れない。


「ありがとう」

速水は帽子を受け取り、礼を言った。

犬が大喜びで飛び跳ねる。


…、いや、もうダメだなこれは。

レオンは戻って来た犬を見て思った。


「で、俺達はなんでここに居るんだろうな」

レオンが痺れを切らし言った。



速水は無言で帽子をかぶる。海を見つめる。


「…なあ、レオン。正直に言う」

「何だ?」


「俺は、ここで手を引いた方が良いと思う」

速水はレオンを見て言った。

「―何?」

レオンが怪訝そうな顔をした。

「とりあえず、怒らずに聞いてくれ」

速水は言った。


「少し調べただけでも、相手がでかすぎる。エンペラーだっけ?そいつも怪しいし」

「なんだ、怖じ気づいたのか」

レオンは言った。


「そうじゃ無いけど。気を付けようって話だ。…まあいい…これ、計画。大雑把だけど」

速水は不機嫌そうに言って、上着のポケットから紙を取り出した。


「ほお、ちゃんとホームワークやったんだな…どれどれ」

レオンはそれを受け取り読み出した。


①知名度を上げる。

④あとは勢い。ジョーカーだけは絶対に捕まえる。

⑤ノアがトップに就任。


──たった五項目。


「少な!…おまえな、これは?」

「だからそう言う計画。簡単だろ。これなら多分半年くらいで出来る。レオンはとにかくまともなアーティストを探して、片っ端から協力を取り付けて、あとはどっかさ迷ってるノアを確保する。最悪ノアが向こうに捕まってても、こっちにはエリーがいる」


「ノアを後釜に据えるって、サロンの力無しでか?」

レオンは言った。


レオンの言葉に速水は頷く。


「ああ。レオンの言った通り、まずエンペラーに会ってみないと分からない。けど承認は得られても得られなくても、どちらでも構わない。もちろん犯罪歴のあるヤツはあらかじめ調べておいて即逮捕」


「なるほど。…つまり、今いるネットワーク連中をなだめて…組織は後々改変していけば良いって事か?まあ、確かにシナリオとしては順当なトコだが…これだけで上手く行くか?ノアがトップ就任するまで道のり、険しいぞ」


レオンは五行しか無い計画をはじいた。

計画はシンプルかつ単純。それでも…可能か不可能かと言われたら可能だろう。

だが、そこに至るまでの道のりが大変だ。


犯罪歴を調べ突きつけると言っても、全てが闇の中だし…。

さらに裏ネットワーク=サロンの存在もある。

どう考えても、今まで皆それをやろうとして、出来なかったのだ。


速水は溜息を付いた。

「正直…、上手く行くか分からないけど、計画を練れば練るほど、地道にやればやるほど色々な勢力に絡め取られる気がする。…だったらもうこれでいい」


実は、反ネットワークを掲げる勢力は幾つもあり、その勢力同士でもいちいちもめているのだ。

つまり『ネットワークは俺達が倒す、だが倒した後はどうする?そもそも相手がでかすぎる。それにネットワークは良い事もしている。勤め人は元仲間もいるし、人質の救出は?

今なお所属するアーティストは罪に問われるのか?…大金を受け取った俺たちは逆に叩かれて危ない?と言うか、ネットワークが無くなったら、ダンス・音楽業界や仕事はどうなる?』

…そう言う感じなのだ。


特にネットワークを完璧に潰す派は、どこの誰がイニシアチブを取るかで足並みそろわぬ事もはなはだしい。

幾つもの大陸に勢力が別れているのも、やりにくい理由だ。


…速水の簡単な計画は、ジョーカーの息子だと言うノアが居なければ成り立たない。

どこに居るか分からないノアは、レオン達の切り札だった。


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